2008年12月11日(木)「しんぶん赤旗」
保育の公的責任後退
事業者検討会 厚労省案に異論続出
厚生労働省の保育事業者検討会(岩渕勝好座長)が十日開かれ、九日に厚労省が公表した保育制度の大幅な改変案に異論や懸念が出されました。厚労省案の「新たな保育の仕組み」は、市町村の保育実施義務に基づく現行制度を、利用者と保育所とが直接契約を結ぶ方式に転換させるもの。
日本保育協会の永野繁登氏は「厚労省案は、児童福祉として保育の内容も公が保証する現行制度とは決定的に違う。公的責任の後退だ」と批判しました。
全国保育協議会の西田泰明氏は「昨日案が出たばかりで、内容も詰まっていない。これで子どもたちの発達を保障できるか判断できない。年内の取りまとめは無理だ」と抗議しました。
全国私立保育園連盟の木原克美氏は、「厚労省案は基本的に評価できる」としながらも、市町村が保育所に運営費を補助する現行の仕組みを、利用者への直接補助方式に転換させることについては、保育の質が守れなくなると懸念を示しました。
企業の代表は、制度改変に基本的に賛成の立場から、運用上の懸念について、「受給権が付与されても待機児が多い地域では入れない問題は残る」(ベネッセスタイルケアの佐久間貴子氏)、「形式的基準だけで参入させるのは事業者の健全性までは測れず、保育の質が担保できない」(JPホールディングスの山口洋氏)などと述べました。
岩渕座長は「きょう出た意見は次回十六日の特別部会に報告する。それを踏まえて部会で議論したい」と述べました。