2008年12月9日(火)「しんぶん赤旗」

主張

米の対キューバ封鎖

中南米と対等の関係築けるか


 中南米二十二カ国が参加する「リオ・グループ」がキューバの加盟を承認しました。「(同グループは)より豊かで、強化された」と議長国のメキシコ外相は述べています。中南米諸国は自立した地域づくりを進める中、米国によるキューバ孤立化の押し付けを拒否し、米国に中南米との道理ある対等な関係の構築を迫っています。

 米国で来年一月に発足するオバマ次期政権は世界とどんな関係を築くのか。それをみるうえで、米国が「裏庭」とみなしてきた中南米との関係見直しは大きな意味をもっています。対キューバ関係がその課題の一つです。

一貫した干渉政策

 キューバは来年一月一日、革命から五十周年を迎えます。歴代米政権は一貫してキューバを敵視し、キューバの体制転覆を企ててきました。意にそぐわない政権を認めない米政策は、キューバの民族自決権を踏みにじる内政干渉であり、国連憲章に反したものです。

 いまなお干渉の最大の道具となっているのがキューバへの経済封鎖です。米議会が一九九六年に制定した「ヘルムズ・バートン法」はあらゆる禁輸措置を法制化し、強化しました。欧州諸国など第三国にも禁輸を強制し、国際法違反と批判されてきました。正式名称(「キューバ自由民主連帯法」)が示すように、キューバの「体制転換」を目的に掲げています。

 ブッシュ米政権は八年の任期中貿易や渡航、送金の制限などの措置を強化してきました。米政府内に「自由キューバ支援委員会」を設置し、「キューバの体制転換を急がせる」措置を推進しました。ブッシュ大統領自身、「米国が実施している(対キューバ)政策のすべてはキューバ国民に表現の自由の機会を与えるためのものだ」と公言してきました。

 しかし、こうした路線によって国際的に孤立化したのは、キューバではなく米国の方でした。国連総会が十七年間連続で対キューバ経済封鎖の解除を求める決議を採択していることがそれを示しています。今年は決議賛成が百八十五カ国と過去最多になりました。

 対米自立化を強めてきた中南米諸国はキューバとの関係を緊密化し、キューバを国際社会の一員として全面的に迎え入れることが域内の平和構築に重要だとみています。米国が影響力を行使してきた米州機構(OAS)へのキューバ復帰を求め、オバマ次期政権に経済封鎖の解除を求める声を強めています。

 欧州連合(EU)も二〇〇三年以来の対キューバ経済制裁を解除し、関係正常化へと動いています。関係の見直しを求める声は米国内でも上がっています。

主権尊重を基礎に

 米ブルッキングス研究所の報告は渡航や送金の自由化、「テロ支援国」指定の解除、外交接触の強化、国際機関へのキューバ加盟に反対しない、などを提案しました。キューバに「体制転換」を求めながらも、封鎖が国際関係の悪化をもたらす中、従来の強硬路線を転換せざるをえないとの判断にたつものです。

 米国には、中南米はもちろん世界各国と主権の尊重や平等互恵を基礎にした新たな関係を築くことが求められています。対キューバ経済封鎖をどうするのかがオバマ次期政権に問われています。


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