2008年12月8日(月)「しんぶん赤旗」
ゆうPRESS
9条思う 学生結ぶ
Peace Night 9
各大学に新しい仲間 新しい「会」
学生9条の会の交流会、第2回「Peace Night 9(ピースナイトナイン) 世界の窮状に9条」が12日、東京・早稲田大学大隈講堂で開かれます。各大学で取り組みが進み、新たに「会」ができ、会に加わってくる学生も増えています。=一部仮名=(伊藤悠希)
■青山学院大学
11月に初めて憲法9条を考える企画に取り組んだ青山学院大学。「軍隊を持たない国」であるイタリア半島の中部に位置するサンマリノ共和国の総領事と同大学教授の新倉修さん(9条世界会議の共同代表)との対談には35人が集まりました。
義典さん(19)=1年生=は高校3年のときにイラク戦争で亡くなった人の写真を見て、同じ人間がなぜ殺されるのかに憤りを感じました。5月の「九条世界会議」でピースナイト9のメンバーに出会い、同じ学生が9条を守る活動をしていると知ってうれしくなりました。「学生が主催していることを多くの人に知らせ、一緒に9条を守る社会に変えようと呼びかけたい」
■中央大学
中央大学9条の会は1年を通して学習会や企画を開いてきました。8月の原水爆禁止世界大会への代表派遣や学園祭での原爆写真展、「歌人が言葉に込めた平和の願い」などの企画です。同大学の教員9条の会の協力も得てきました。
中央大学は昨年に続きバスツアーを計画しています。昨年は教員や地域の9条の会の人たちも参加。バスの中で参加者の平和や9条に対する思いを交流できたと好評でした。
会のメンバーの涼子さん(18)=1年生=は「いろんな大学の学生が集まって9条について考える集会なので楽しみです」と期待します。
代表の京子さん(21)=4年生=は言います。「昨年、(第1回に)あれだけの人が集まったことと、学生自身の言葉で平和への思いを聞いたことが新鮮でした。自分たちが感じた感動を伝えて、多くの人に呼びかけたい」
■法政大学
法政大学では6月、「法政大学9条の会」を結成しました。2回目となる企画「国際社会と日本」が3日、同大学で開かれました。
初めて参加した詩織さん(20)=2年生=は9条について考えたことがなかったといいます。選挙権を持ったことで学んで考えたいとビラを見て参加しました。「9条のことについて考えるきっかけになった。機会があれば今後も参加したい」
会では昨年もピースナイト9に向けて準備会として取り組みましたが、ビラを配布するのにも一苦労でした。昨年、賛同を呼びかけた教授が協力してくれるなど今回は多くの学生に知らせることができるようになりました。
宣伝で知り合った学生は会のメンバーとして今回の企画の司会を務めました。
責任者の一郎さん(22)=4年生=は話します。「今回は仲間も増え、学内での企画が実現したことが自分たちの確信になっています。9条を守ろうと感じている学生が増えていると思います」
ノーベル賞の益川さんも期待
第2回ピースナイト9には、賛同メッセージがたくさん届いています。
「若い学生の力を大いに期待します」と寄せたのは京都大学名誉教授で、ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さん。
このほか、女優の吉永小百合さん、日本共産党の志位和夫委員長、ジャーナリストの大谷昭宏さん、映画監督のジャン・ユンカーマンさん、法学館・伊藤塾の伊藤真さん、立命館大学名誉教授・憲法9条メッセージプロジェクト事務局長の須田稔さんら各界各分野の著名人が、熱い期待を寄せています。
第2回Peace Night9
12日(金)
18時半スタート(18時15分開場)
場 所 早稲田大学大隈講堂
入場料 無料
主 催 Peace Night9実行委員会、早大九条の会“Article9”
※実行委員会では、集会成功に向けたカンパを呼びかけています。
問い合わせはメールで peace9@peace9.net
当日のプログラム
◇オープニング
◇9条と私(高校生・学生の発言)
◇早稲田からのPeaceメッセージ
◇世界の窮状から(イラク人カーシム・トゥルキさんからのビデオメッセージ、ジャーナリスト吉岡一さんのイラク報告)
◇ダンスパフォーマンス
◇メイン企画 学生トークWith井上ひさし「学生の未来と憲法9条」
◇アピール提案・採択
お悩みHunter
解雇が不安。我慢あるのみ?
Q 下請けの会社で派遣社員として働いています。景気の悪化で、大企業が派遣社員を大量に「解雇」するというニュースが毎日のように流れて、不安です。同僚は「大企業がつぶれたら下請けは大変だから、派遣の『解雇』は仕方ない。会社に目をつけられないように、今は黙って働くしかないよ」といいます。我慢するしかないのですか。(32歳、男性)
仲間と権利学び、できることを
A 社会の主人公はいったい誰なのでしょうか?
私は、働く人たちや国民ひとりひとりだと思います。働く人たちの労働によって、社会が支えられ私たちが安心して暮らしていけるのです。
だからこそ憲法は、働く人の権利を守り、誰もが「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」があると定めています。
労働者にとって、解雇は生活の糧を失う重大事態です。また、労働者が安心して働き生活できない社会に安定的な発展は望めません。
そのため、法は、合理的理由のない解雇を禁止しており、一時的な業績悪化のみを理由とする解雇は違法・無効とするのが判例(裁判所の判決例)の立場です。派遣労働者についても同様に考えられます。
ところで企業も社会を構成する一つですが、企業の利益の根源は、あなたたち労働者の労働です。しかも労働者の雇用を守ることが購買力を高め、最も効果的な景気対策になります。
ですから、景気が悪いからといって労働者を切り捨てるというのは、全く本末転倒です。
ただ、1人だけでは、自分が社会を支える担い手であることさえ見失ってしまいがちで、声をあげることもできないのが現実です。
まず周りの仲間と協力して、自分たちにどんな権利があるか学習し、できることを考えてみてはどうでしょう。
不安な気持ちでただ「我慢」しているだけでは、何も解決できないと思います。
弁護士 岸 松江さん
東京弁護士会所属、東京法律事務所勤務。日本弁護士連合会両性の平等に関する委員会委員。好きな言葉は「真実の力」。