2008年12月8日(月)「しんぶん赤旗」
主張
「太平洋戦争」67周年
侵略の誤り 問い続けてこそ
日本が朝鮮半島や中国への侵略戦争に続いて、一九四一年十二月八日マレー半島やハワイを攻撃、アメリカやイギリスなどを相手にいわゆる「太平洋戦争」を始めてから六十七周年を迎えました。
一連の戦争でアジア諸国民と日本国民に甚大な被害を与えた侵略戦争と植民地支配の罪悪は消えてなくなりはしません。それどころか小泉純一郎元首相の靖国神社参拝や最近の田母神俊雄前空幕長の言動など戦争を肯定し美化する動きがあとを絶ちません。侵略の誤りを問い続けることは、日本がその反省を生かし世界平和の前進に役割を果たすうえで不可欠です。
成り立たない侵略美化論
一九三一年に日本が中国東北部で引き起こした「満州事変」とその後の日中全面戦争、さらには「太平洋戦争」まで、十五年間にわたった日本の戦争で、アジア・太平洋の国々では二千万人以上が犠牲になりました。台湾や朝鮮半島ではそれ以前から日本が植民地化を進め、日本式の名前を強制し、無理やり日本に連行するなど、民族の尊厳を踏みにじってきました。
小泉首相の「靖国」参拝をほめたたえた「靖国」派の人びとや田母神前空幕長は、日本の戦争は「自衛」のため、「アジア解放」のためだったとか、日本が侵略国家だったというのは「濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)」だといいます。しかし、朝鮮半島や中国はもちろんアジア各地への日本の侵略が、領土と権益の拡大をねらったものだったことは明らかです。「太平洋戦争」開戦の一年以上前に当時の政府と軍部できめた方針には、中国はもちろん東南アジアから太平洋の島々、インドやオーストラリアまでを、日本の「生存圏」として支配する意向が書き込まれていたのは有名です。「自衛」などという口実は一切通用しません。
日本は敗戦後、日本の戦争犯罪を追及した東京裁判を受け入れ、憲法前文に「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」ことを明記して再出発しました。過去の戦争を肯定し美化することは、こうした反省を反故(ほご)にし国際社会と国民への約束を踏みにじることにもなります。
戦争を放棄した日本が、戦後もアメリカとの軍事同盟にしばられて戦争支援を求められ、政府がそれに応えてきたのは、こうした原点にそむくものです。それでも戦後の日本が少なくとも自ら戦争を起こすことはなく、一人の戦死者も出さなかったことは、国際的にも高い評価を得てきました。日本が選んだ戦後の再出発が正しかったことを浮き彫りにしています。
ことしは東京裁判から六十年目になります。「靖国」派は、この東京裁判さえ「勝者の裁き」の一言で葬り去ろうとしますが、国際的に通用するものではありません。東京裁判では裁かれなかった「強制連行」や日本軍「慰安婦」などの問題での謝罪や補償、名誉回復を含め、日本が侵略戦争への反省を誠実に貫くことこそ重要です。
侵略戦争に反対した党
日本共産党は戦前の暗黒政治の時代から侵略戦争に命がけで反対し、戦後も侵略の誤りを正面から批判して二度と誤りを繰り返さないよう求め続けてきました。
日本が世界に先駆け推し進めてきた戦争放棄の流れはいま世界に広がっています。戦争を肯定する逆流を許さず日本と世界の平和のため力を尽くすことが重要です。