2008年12月4日(木)「しんぶん赤旗」
主張
「骨太」方針
破たん路線は根本から転換を
麻生内閣は二〇〇九年度予算の編成で、〇六年の「骨太方針」に基づく歳出削減路線の実質「凍結」に追い込まれました。〇六年「骨太」は社会保障を標的に歳出を削減し、足りなければ消費税増税で賄う「財政再建」策を掲げています。
麻生内閣は不景気に対応した一時的措置だとしています。右往左往しながら、「骨太」の「維持」に固執する姿勢です。
しかし、暮らしと社会保障を犠牲にする「構造改革」が、根本から破たんしていることは誰の目にもはっきりしています。
2200億円のノルマ
自公政権は財界の号令で〇二年度予算から社会保障の大規模な抑制を開始し、七年間で一兆六千二百億円の予算を削ってきました。小泉内閣が最後に取りまとめた〇六年「骨太方針」は、社会保障の自然増を、一一年まで五年にわたって毎年二千二百億円も削り続ける“ノルマ”を課しています。
毎年連続で社会保障を後退させた「構造改革」は、医療や介護、生活保護などあらゆる面で深刻な社会問題を引き起こしています。政治と行政の支えを最も必要とする障害者、失業者、高齢者をはじめ、社会的に弱い立場に置かれた国民が最大の被害者です。
自民党の細田博之幹事長は、「不況が深刻化」しているもとで、「骨太方針」の歳出削減は「いったんひと休み」だと説明しています(二日の記者会見)。
矛盾は、アメリカ発の金融危機のはるかに前から噴き出しています。歴代の厚労相が異口同音に、社会保障の抑制は「限界だ」とのべざるを得なかったほどです。
単なる景気対策や、いずれ“解凍”する「凍結」ではお話になりません。国民生活を犠牲にする「骨太方針」は、きれいさっぱり撤回すべきです。
自民党は公共事業を3%削減する方針の凍結も求め、麻生内閣は「弾力的」な財政出動を約束しました。地域経済の悪化、中小・零細建設業者の経営難はきわめて深刻です。民間のマンション・住宅市場の冷え込みに加えて、銀行の貸し渋り・貸しはがしが直撃しています。しかしそれは、自公政権のバラマキでは解決しません。
小泉内閣以来の公共事業「改革」は、大手ゼネコンに奉仕する高速道路やスーパー中枢港湾など「構造改革」型の大型事業に投資を集中しました。ばっさり削ったのは中小業者の受注率が高い福祉・教育、生活道路など生活関連の工事です。
麻生内閣の「予算編成の基本方針」は、「改革」を継続し「更なる重点化・効率化を図る」と明記しています。これでは、浪費を重ねて大手業者を潤すだけです。
むだな大型事業にメスを入れ、公共事業の中身を福祉・生活優先に抜本的に切り替えてこそ、住民に必要な公共事業と中小業者の仕事を確保することができます。貸し渋りを正すには、税金投入で甘やかすのではなく、銀行に対する強力な指導と監督が必要です。
財源は消費税に頼らず
暮らしを犠牲にして財界・大企業に奉仕する財政の数字合わせは土台から崩れています。
社会保障の抑制から拡充へ、軍事費と大企業・大資産家向け減税に切り込めば消費税に頼らずに財源を生み出せます。根本から破たんしている「構造改革」路線は、根本から転換すべきです。