2008年12月2日(火)「しんぶん赤旗」
「鉄の団結」悪行続く
カルテル・談合 摘発5年で5回
根深い鉄鋼業界の不正体質
建材用亜鉛メッキ鋼板の価格カルテルの摘発に続いて、シャッター三社が価格カルテルを結んだり、談合を繰り返したりした疑いで、公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。利益のためなら業界ぐるみで不正に手を染める体質が厳しく問われていますが、なかでも鉄鋼業界は再三、カルテルや談合で公取委から行政処分や告発を受けるなど、問題は根深いものがあります。
メッキ鋼板をめぐる価格カルテルを結んでいたとして、独占禁止法違反で公取委が十一月十一日に告発したのは、新日本製鉄と住友金属工業が出資する「日鉄住金鋼板」、新日鉄が最大株主の「日新製鋼」、「淀川製鋼所」の三社です。「JFE鋼板」もカルテルに加わりましたが、最初に自主申告し、告発を免れました。
鉄鋼業界の独禁法違反行為は、目に余るものがあります。ことし六月には、土木工事用鋼管杭(くい)・鋼矢板のカルテルで新日鉄やJFEスチールなど三社が約二十億円の課徴金命令を受けたばかりです。
新日鉄など六社が、二〇〇三年十二月に冷間圧延ステンレス鋼板の価格カルテルで排除勧告を受けて以来、鉄鋼業界のカルテルや談合の摘発は、五件にのぼります。(表参照)
ステンレスカルテルでは、〇五年三月、日新製鋼約十六億円、新日鉄約十二億八千万円など六社で総額約六十七億七千万円の課徴金納付命令を受けました。
旧日本道路公団などの鋼鉄製橋梁(きょうりょう)工事をめぐる談合では、新日鉄、JFEエンジニアリングなど鉄鋼会社を含む四十四社が総額百二十九億円の課徴金納付命令を受けています。
さらに東京ガスと大阪ガスが発注する鋼鉄製ガス導管工事をめぐる談合では、昨年末、新日鉄、住友金属など四社が総額七億円強の課徴金納付命令を受けています。
まさに“鉄の団結”といった状況ですが、ことし五―六月には、業界ぐるみで、鋼材試験データ偽造が発覚しました。これには、新日鉄の子会社「ニッタイ」、JFEスチール、日新製鋼、淀川製鋼所などが含まれています。
毎回、顔を出している新日鉄グループの総帥、三村明夫同社会長は「経済財政諮問会議」(議長=麻生太郎首相)のメンバーです。消費税増税などを議論するより、談合・カルテルを繰り返す業界体質の改善が急務ではないのか―。
今回、カルテルが摘発されたメッキ鋼板は、住宅の屋根などに使われるもので、販売にあたって、「一キロあたり十円の値上げ」を合意しているように、板金店などの零細企業や消費者に負担を押し付けることになるだけに、検察当局の徹底的な調査解明が求められています。
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