2008年11月30日(日)「しんぶん赤旗」

GM労働者解雇政府が「待った」

「強制調停」を発動/労使交渉大詰め

アルゼンチン


 米大手自動車メーカーGM(ゼネラル・モーターズ)は、世界的な景気後退による販売台数の減少を受けて、南米アルゼンチンの工場でも労働者の首切りを計画していましたが、安定的な雇用の拡大を方針として掲げる同国政府の積極的な介入と労働者のたたかいで解雇撤回に追い込まれています。


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 同国からの報道によると、GMアルゼンチンは十月中旬、サンタフェ州のアルベアル工場で働く四百三十五人を解雇する計画を発表しました。クリスティナ・フェルナンデス大統領は、労働省に対し直ちに介入を指示。労働省は解雇を一時凍結させる「強制調停」措置を発動し、会社側と労働組合が州労働省の仲立ちで妥協案を探ってきました。

 同工場で生産されている車種はグランドビタラ(GMが提携している日本のスズキ自動車のエスクード)。GM側はこの車種の生産を中止し、新車種の生産を来年に向けて準備中といわれます。

 十一月半ばの交渉でGM側は、正社員については来年末まで雇用を保証するとして、当初の計画を撤回する考えを表明。同時に、約百六十人の期間工については一時帰休とするが、二月まで賃金の十割支給を保証するとの条件を提示しました。

 これに対し自動車機械労組(SMATA)は二十七日、全労働者二千三百人が給与の最大二割カットを受け入れる用意があるとの立場まで示し、期間工を含め全員の雇用確保を迫りました。「強制調停」措置の期限が十二月二日で切れることから、労使双方の交渉は大詰めを迎えています。

 GMの解雇問題の結果は、自動車だけでなく他の産業の雇用情勢にも影響を与えるものとして注目されています。SMATAのマルセロ・バリオ書記長は、「会社はすべての労働者を尊重する姿勢がないが、SMATAは違う」と述べ、正社員・期間工の別なく全員の雇用を守る立場でたたかう姿勢を強調。会社側が態度を変えない場合は、ストライキなども辞さないと語っています。

 フェルナンデス政権は、不景気による生産縮小を理由にした企業の一方的解雇をやめさせるため、さまざまな分野で「強制調停」措置を発動。また、現実に経営難に陥っている中小企業には、個別審査のうえ、労働者一人当たり六百ペソ(約一万七千円)の支援金を出し、大量失業の発生を抑える努力をしています。(菅原啓)


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