2008年11月28日(金)「しんぶん赤旗」
裁判員制度
「問題点の改善を」
法律家と市民がシンポ
来年五月から実施されようとしている裁判員制度の問題点を探ろうと、自由法曹団、青年法律家協会弁護士・学者合同部会、日本民主法律家協会の法律家三団体が二十七日、都内でシンポジウムを開き、市民や法律家九十人が参加しました。
主催者を代表してあいさつした鳥生忠佑日本民主法律家協会前理事長は、「立場や意見の違う三団体だが、いま共同して制度の問題点を国民に知らせるのが、私たちの責任と考えた。今後も歩調を合わせて行動していきたい」とのべました。
小田中聰樹東北大学名誉教授、今村核、伊藤和子両弁護士によるパネルディスカッションでは、「『疑わしきは被告人の利益に』という鉄則が裁判員に徹底されず、無罪を争う事件でも二、三日の超短期審理で、安易な有罪、安易な死刑が量産されかねない」(伊藤氏)、「『まじめに審理したい』という裁判員像に依拠して、運用モデルを組み立てるべきだ」(今村氏)など、制度や運用の問題点が出されました。小田中氏は「施行すべきか否かについて国民的議論をつくすために延期すべきだ」とのべました。
会場からは「制度の害悪を最小限にして被告の人権を守ること、抜本的な改正をやるため全力をあげること、この二つの課題に同時に取り組まなければならない」、「世論に働きかける行動を共同してすすめたい」などの発言が出され、制度そのものへの反対論も含め、来年五月からの実施に強い批判が相次ぎました。
裁判員制度 国民から無作為に選ばれた裁判員が裁判官と同じ権限で刑事裁判に関与する制度。対象となる事件は殺人、強盗致死など死刑または無期懲役・禁固にあたる重要事件で、裁判官三人、裁判員六人の合議で、有罪か無罪か、有罪の場合の量刑をどうするかを決めます。日本共産党は制度への国民合意がなく、国民が参加しやすい制度という点での条件整備が十分でないことから、来年からの実施は再検討し、延期することを求めています。