2008年11月28日(金)「しんぶん赤旗」
泡瀬干潟
公金支出差し止め不服
沖縄県知事ら控訴方針
沖縄県の仲井真弘多知事と沖縄市の東門美津子市長は泡瀬干潟の埋め立てをめぐり、県と市に公金支出差し止めを命じた那覇地裁判決を不服として、福岡高裁那覇支部に控訴する方針を決定しました。
東門市長は二十七日に記者会見を行い、埋め立て工事を予定している二区域について「第一区域推進、第二区域推進困難」とのこれまでの市の立場を改めて強調。事業計画を見直して継続する必要性があるとして控訴する方針を明らかにしました。十二月二日に臨時会を開き、市議会の議決を経て控訴する見通しです。
県は当初、地方自治法九六条に基づき控訴には議会の承認が必要としていました。しかし、野党が多数を占める県議会では承認を得られない可能性が強いと判断。訴訟被告が知事であることを理由に「地方公共団体(県)が当事者でないため議決要件にはならない」として、議会の議決を経ずに控訴する方針に急きょ変更しました。
これに対し野党側は強く反発。二十七日に開かれた野党議員への議案説明会では、「県の手法は形式的で実態性に合わない」「県の予算にかかわるもので個人の問題ではない。議会にはかるべきだ」と各議員から批判が相次ぎました。日本共産党の前田政明県議団幹事長は「専決的強行は許されない。地方自治の破壊であり、議会を軽視する暴挙だ」と強く抗議しました。
「泡瀬干潟を守る連絡会」の前川盛治事務局長らは同日、記者会見し、「類似事件は議会の承認を経てやっている。県がやっている方向は民主主義の否定だ」と述べ、抜け穴的に法解釈を行う県の姑息(こそく)な手法に厳しく抗議しました。
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