2008年11月25日(火)「しんぶん赤旗」

APEC首脳宣言

グローバル化、転換点に

「格差」など課題列挙


 ペルーのリマで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が二十三日に採択した首脳宣言は、グローバル化が持つ負の側面への対応に多くの分量をあてた内容になりました。

 米国流の市場万能主義的な楽観論が支配した昨年の宣言から一変し、「企業の社会的な責任」や「先進国と途上国の格差の減少」などの課題が列挙された今年の宣言は、グローバル化が転換点にきていることを示しました。

 APECの創設目的である貿易と投資の自由化、域内の経済的統合などの原則は、今回の宣言でも繁栄の条件とされています。しかし、宣言は冒頭で「今年の最大のテーマは先進国と途上国の格差を減らすこと」だと指摘、「グローバル化の社会的な側面」を重視するとした上で、「すべての加盟国と各国のあらゆる部門が貿易と投資の利益を享受できるようにする」と約束しました。

 投機マネーの流入による国際的な食料価格の高騰が域内の貧困対策に困難をもたらしていることを反映し、宣言は世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の合意は「バランスの取れた結論」に基づくべきだとしました。

 また、「経済、社会、環境の各分野での進展に基づくグローバル化」のために、「企業の社会的責任の促進」を強調。企業、政府、労働者などの間の「対話を奨励する」とし、企業活動は「社会、労働、環境に関する懸念を考慮すべきだ」と明記しました。

 首脳会議に出席した中国の胡錦濤国家主席は二十三日、ロシアのメドベージェフ大統領との会談で「世界の政治的、経済的な構造は、冷戦後で最も深い変化の過程にある」と語りました。(面川誠)


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