2008年11月22日(土)「しんぶん赤旗」

主張

「緊急経済提言」

生活応援で経済を再生しよう


 政府は月例経済報告で景気認識をさらに下向きに修正しました。十月は六百億円を超す貿易赤字で、金融危機の震源地・アメリカや欧州だけでなく、アジア、中国向けも減少に転じています。

 若者の雇用や家計に犠牲を押し付けて、一部の輸出大企業を応援する外需だのみの経済運営のゆきづまりが、ますます浮き彫りになっています。

外需から内需主導へ

 「大企業・大銀行応援か、国民のくらし応援か 景気悪化から国民生活を守る日本共産党の緊急経済提言」は、くらしと営業を守ると同時に、「外需だのみから内需主導へ」日本経済の抜本的な体質改善を図る道を提案しています。

 重大なのは、不況がくらしと家計に襲いかかっているときに、大企業が先頭に立って労働者を大量解雇しようとしていることです。

 いすゞ自動車は千四百人の派遣・期間従業員を一気に解雇する方針を明らかにしました。契約期間が残っていても雇用を打ち切る横暴きわまるやり方です。トヨタ、日産、マツダ、スズキ、キヤノンなども相次いで派遣・期間社員の削減を発表しています。

 アメリカ発の金融危機は「ぬれ手であわ」の「カジノ資本主義」の破たんです。国民が貧乏くじを引かされるいわれはありません。「緊急経済提言」が求めているように、政府は「カジノ資本主義」の破たんのツケを国民に回すような、大企業の身勝手を許さない断固とした対応を取るべきです。

 大銀行が率先して進めている貸し渋り・貸しはがし、大手製造業の下請け単価たたきをやめさせることも急を要します。銀行に中小企業への貸し出し目標・計画を出させて厳しく監督すること、信用保証制度を全額保証に戻すこと、下請検査官を大幅に増員し立ち入り検査を強化することなど、「緊急経済提言」の実効性のある具体策が急がれます。

 外需だのみから内需主導へ切り替えるため、「緊急経済提言」は雇用の安定と社会保障の拡充、農林漁業と中小企業の応援による地域経済の再生を掲げています。「使い捨て」自由の不安定雇用をまん延させた規制緩和、社会保障の抑制路線を逆転させ、所得と生活の安心を取り戻すことは内需の安定に不可欠です。

 何より、低所得層ほど打撃が大きく、内需に冷水を浴びせる消費税増税に断固反対し、食料品の非課税で家計を応援するとともに、軍事費の浪費にメスを入れ大企業・大資産家向けの七兆円減税を元に戻す財政の提案は重要です。くらしと営業を守る政策の財源をつくるとともに、崩れた所得再分配の仕組みの再建にもつながる提案だからです。

国民的な共同で打開を

 二期連続減少となった七―九月のGDP(国内総生産)で家計消費(名目)は二百九十一兆円、GDPの57%を占めます。消費を1%増やすだけで貿易赤字の一・八兆円を補って余りがあります。

 直面している不況は自公政府の大企業・大銀行応援や一年限りの「給付金」では解決できません。

 破たんした「カジノ資本主義」に追随する「構造改革」路線は、抜本転換する必要があります。くらしを守り、外需だのみから内需主導に切り替えて経済危機を打開するため、国民的な共同が重要になっています。


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