2008年11月20日(木)「しんぶん赤旗」
マンモスのゲノム解読
アフリカゾウとの違い0.6%
米ロの研究者
一万年前ごろ絶滅したマンモスのゲノム(全遺伝情報)の大部分を解読することに、米国とロシアの研究グループが成功し、二十日発行の科学誌『ネイチャー』に発表しました。アフリカゾウのゲノムとの違いは、予想されたより小さいことなどがわかったといいます。
研究グループは、シベリアの永久凍土の中から見つかったマンモスの毛からDNAを取り出し、塩基配列を調べました。これまでに数個体のマンモスについて調べた結果、約三十三億の塩基の配列が判明しました。マンモスのゲノム全体の、約七割に相当するとみられています。
約七百五十万年前に分かれたとされるアフリカゾウの塩基配列と比較した結果、約0・6%の違いしかありませんでした。同じころに分かれたヒトとチンパンジーの違いは約1・24%とされており、それよりも違いが小さいことがわかりました。
DNAは死後分解されやすいため、何万年も前に死んだ動物の遺物から取り出せるのはまれですが、永久凍土の中に埋まっていたこと、DNAが保存されやすい毛を利用したことが、今回の成功につながったとみられています。
ゲノム ある生物のもつ全遺伝情報のこと。本体は、DNA(デオキシリボ核酸)。DNAの四種類の塩基の配列のしかたによってさまざまなたんぱく質がつくられます。生物によって大きさはさまざまで、ヒトのゲノムは約三十億の塩基からなります。