2008年11月20日(木)「しんぶん赤旗」
将来の公金支出違法
泡瀬干潟開発 原告「中止へ展望」
那覇地裁判決
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沖縄県民ら約六百人が同県沖縄市の泡瀬干潟を埋め立てる事業への公金支出の差し止めなどを県知事や市長に求めた訴訟の判決が十九日、那覇地裁(田中健治裁判長)で言い渡されました。田中裁判長は、判決確定以降の「一切の公金支出や契約締結、債務その他の義務を負担してはならない」と命じました。
判決は、原告側の請求を一部棄却しましたが、事実上、埋め立て事業を止める異例のもの。泡瀬地区の県や市が行っている埋め立て、土地造成、開発各事業について「経済的合理性を認めることができない」と指摘し、将来の公金支出は違法としました。
原告側がずさんと主張していた環境影響評価については、サンゴ類やサンゴ礁生態系などに対する予測の検討や、トカゲハゼの検討がされていないなど不十分な部分が散見されるとしました。しかし、環境影響評価法、同省令は調査方法などの具体的規定を置いてないため、今回の影響評価が「違法なものであるとまでいうことはできない」としました。
同訴訟で、これまでの各事業への支出は違法として知事に対して請求していた損害賠償は棄却されました。
判決などによると、国と県は泡瀬干潟とその周辺海域、百八十七ヘクタールを埋め立てる計画でした。県と市は総額約七百四十億円で土地を買い取り、市がマリンリゾートを建設する予定でした。
泡瀬干潟を守る連絡会の前川盛治事務局長は「一部勝訴だが、泡瀬干潟埋め立ての中止に向けて大きな展望が開けた」と判決を評価しました。
泡瀬干潟 沖縄市東部に位置し、最大干出面積二百九十ヘクタールを誇る干潟。希少な海藻のクビレミドロ、トカゲハゼなどが生息し、多様な生態系を形成しています。サンゴの群落もあり貴重な自然が残されている「生物の宝庫」として知られています。
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