2008年11月19日(水)「しんぶん赤旗」

一斉閉園「エムケイ」保育園

補助金担保に借金

認証前、東京都 見逃す


 保育園「ハッピースマイル」など二十九施設がいっせいに閉鎖した問題で、運営するエムケイグループ(初見雅人社長、東京都豊島区)が、さいたま市と埼玉県戸田市から得る補助金や施設営業権を担保に多額の借金をしていました。借金をしたのは、東京都の認証を受ける直前で、問題企業に保育参入を許す認証の甘さが改めて浮き彫りになりました。


 エムケイグループ(エム社)は都の認証保育所「ハッピースマイル東中野駅前園」を九月に開園しましたが、わずか二カ月で閉鎖する事態となりました。

 認証をする際、財政的に安定した経営ができるかを知るため都が提出を求める財政資料は、銀行の残高証明と過去三年分の決算書のみ。都も「負債残高を調べるようにはなっていない」といい、借金を調べる仕組みにはなっていません。

 エム社の内部資料や関係者の証言で明らかになった同社の借金は二件。八月に都内の人材派遣会社から借りた二千三十七万円と、同時期に初見社長名義で借りた個人からの借金一千万円です。

 エム社は、返済ができなかった場合の担保として、さいたま市内と戸田市内のハッピースマイル園や病児病後児保育室など五つの施設営業権と三つの業務委託料や補助金を設定しています。

 戸田市の担当者は「法的に禁じられているわけではないが、望ましいことではない」と困惑しています。さいたま市は「業務委託料はあくまで施設運営に払っているし、担保になれば譲渡される可能性もあり、いいことではない」と言います。

 関係者によると、人材派遣会社からの借金は完済期限が過ぎた十月の時点で完済されていませんでした。個人からの借金も返済されておらず、債権者が法的手続きを進めています。

 本紙の取材に初見社長は人材派遣会社からの借金と返済の遅れについては認めています。個人からの一千万円については借り入れの事実はあるものの、「だまされた不当なもの。(債権者と)争う」と主張しています。

 自治体からの業務委託料を担保にするのは問題ではないか、という問いに、初見氏は「おっしゃる通りですが、借入先(の派遣会社)は上場企業の子会社なので、(担保の差し押さえなどは)しないと思っていた」と答えました。

 都の子育て支援課の担当者は「(委託料などを担保にした借金が)保育以外で使う可能性もあると思われ、こうした事実がわかっていれば問題だと認識したと思う」と話しています。


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