2008年11月17日(月)「しんぶん赤旗」
米軍地位協定
イラク政府が承認
聖職者ら非難「占領に貢献」
【カイロ=松本眞志】イラク政府は十六日、閣議で米側回答の米軍地位協定修正案を承認しました。協定案は十月に米・イラク両政府の事務レベルで合意されましたが、イラク側が再度、米側に修正を求めていました。
ロイター通信によると、(1)二〇一一年までの米軍撤退の明確化(2)イラクを近隣諸国攻撃の基地にしない―ことで米側が譲歩しました。
イラク政府のダバグ報道官は会見で、協定修正案について、イラク側の要求が「可能なかぎり受け入れられた」と発言。修正部分の詳細には触れずに、米軍の免責特権、イラク人拘束権、イラク領からの周辺国への出撃禁止などの問題で改善があったと述べました。
ダバグ氏は「イラク連邦議会が地位協定案を承認する権限をもっている」と説明しました。連邦議会ではすでに、統一イラク同盟(イスラム教シーア派)とクルド同盟が協定修正案を支持していると報じられています。
一方、シーア派サドル師派のアフマド報道官は、閣議決定が占領反対の国民の声に影響を与えないとし、「イラク国民は地位協定案を拒否し、連邦議会でも承認されないだろう」と主張。スンニ派のイラク・イスラム聖職者協会は地位協定案承認を「醜悪な占領に貢献するものだ」と非難しました。
イラク共産党などが参加する世俗統一会派の「イラク国民名簿」は、米軍がイラクの安全保障に関与し続けることに異論を唱えています。
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