2008年11月17日(月)「しんぶん赤旗」
「象のオリ」解体へ 米軍三沢
代替施設を計画か
青森県三沢市の米軍三沢基地が、「象のオリ」と呼ばれる通信傍受施設の解体を計画していることが、十六日までに分かりました。本紙の問い合わせに、同基地の米空軍第三五戦闘航空団報道部が明らかにしました。
|
「象のオリ」は、「セキュリティー・ヒル(保安の丘)」と呼ばれる、三沢基地北西部の姉沼通信所地区に設置されているもの。直径約三百四十メートル、高さ約三十六メートルの巨大な円筒形のアンテナ(正式名・AN/FLR―9)です。一九六五年に建設され、旧ソ連やロシア、中国、北朝鮮などの短波通信を傍受してきたとされます。軍事・外交上の長距離通信のスパイが目的です。
第三五戦闘航空団報道部は、「象のオリの解体」について、「現在、計画段階にあり、正確な(解体)費用の見積もりを出すために必要なデータを集めているところだ」と回答。一方で、「実際の解体はまだ数年先になる」としました。
かつては最高機密扱いだった「象のオリ」は、ソ連崩壊後の九〇年代半ばごろから、周辺が基地航空祭のための駐車場として一般に開放されるなど変化が見られていました。現在、「象のオリ」が稼働しているかどうかについて、基地関係者は「全部は使われていないが、一部が使われているということもある」と語ります。
解体の理由は、より高性能な代替システムがすでにでき上がっているか、その計画があるためではないかというのが、専門家らの大方の見方です。
姉沼通信所地区には現在、「象のオリ」とは別に、ゴルフボールのような形をした大・中・小十七個のレーダー施設(大きいものは直径約三十メートル)があります。昨年から今年にかけて三個増えたことが確認されています。
軍事・商業通信衛星の中継内容を傍受しているとされ、最近建設されたものは「弾道ミサイル防衛」との関係も指摘されています。
米軍の「象のオリ」は、国内では三沢基地のほか、沖縄県読谷村の楚辺(そべ)通信所にありました。SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意に基づいて二〇〇七年に撤去。その代替として〇六年に、新しいアンテナ施設がキャンプ・ハンセン(同県金武町など)に建設されています。
■関連キーワード