2008年11月12日(水)「しんぶん赤旗」

主張

核兵器のない世界

新国際署名で廃絶への道を


 今夏の原水爆禁止世界大会から開始された新しい国際署名「核兵器のない世界を―二〇一〇年核不拡散条約(NPT)再検討会議にむけて」に共感が広がっています。

 二〇〇〇年のNPT再検討会議で、核兵器廃絶の「明確な約束」に核保有国も合意してから八年。この実行を妨害してきた米ブッシュ大統領が内外政策への強い批判にさらされて退場に向かう一方、「核兵器のない世界」を掲げたオバマ氏が大統領選挙で勝利しました。今度こそ核兵器廃絶への確かな道を開こう、NPT会議に向けた大きな運動をおこそう―との声が高まっています。

決断し、交渉の開始を

 オバマ氏が「変革(チェンジ)」の目玉として打ち出した政策の一つも核兵器問題でした。オバマ氏自身も、民主党の政策綱領も、「核兵器のない世界」の追求と、包括的核実験禁止条約の批准など核軍縮の進展を掲げました。なかでも注目すべき点は、「核兵器のない世界の方がよりアメリカにとって安全であり、核兵器廃絶という目標を核政策の中心にすえる」(政策綱領)と明言したことです。

 一方、「核兵器が存在する限り、我々は強力な核抑止力を維持する」とも述べています。しかし最強の核保有国が、他国の核兵器を理由に核抑止力が必要だとしたら、核兵器廃絶の展望は生まれません。自らは安全保障を理由に強大な核兵器を持ちつづける一方、核拡散阻止を口実に核使用をも選択肢とする先制攻撃戦略をうちだしイラク戦争を強行するという、いわば最悪の核抑止政策を進めたのがブッシュ政権でした。

 この路線からの真の転換を世界が求めていることは、今秋の国連などでの議論をみても明白です。

 軍縮・安全保障問題を扱う国連総会第一委員会の討論で新アジェンダ連合の代表は、特定の国の核兵器保有が世界の平和と安全を強化するという見解に同意しない、それは核兵器の使用や新たな核保有の危険を作り出すと批判しました。潘基文(パンギムン)・国連事務総長も講演で、核抑止ドクトリンの危険を指摘し、国連憲章をはじめ政治的な意志の力によって、国際的な平和と安全保障への新たな一歩を踏み出すことをよびかけました。

 核抑止・核固執と決別し、まさに“核兵器廃絶を中心にすえる”ことが求められているのです。日本の原水爆禁止運動の一貫した主張が世界の流れになり、核大国の中枢にも影響を与えています。核保有国が核兵器廃絶の「明確な約束」の実行を決断し、「核保有国をはじめすべての国の政府がすみやかに核兵器禁止・廃絶条約の交渉を開始し、締結すること」という署名の要求は、この新しい状況にかみあったものです。

世論と運動が土台に

 この実現の決定的な力は、原水爆禁止世界大会で国連や政府の代表が強調したように、草の根の運動にあります。NPTのもとで核兵器を持たないことを誓約し、核保有国に核兵器廃絶の約束の実行を求めている圧倒的多数の国の努力と、世界諸国民の運動とが大きく合流してこそ、可能性を現実にすることができます。

 NPT会議に向けてのさまざまな努力と連帯し、草の根で支える力として、すでに内外から大きな賛同と期待が寄せられている署名運動の成功が重要です。



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