2008年11月9日(日)「しんぶん赤旗」
商工ローン大手の「SFCG」
“借金”遅れず返しているのに
突然「一括返済せよ」
調べると 1800万円過払いも
商工ローン大手「SFCG」(旧商工ファンド)グループが高い利息で中小業者に貸し付けた融資をめぐって、返済がとどこおっていないのに融資の一括返済を迫ってくる事例などが相次いでいます。「あまりに理不尽だ」と中小業者から怒りの声があがっています。
怒号交じりで
東京都内で自営業を営む花田郁子さん(50)=仮名=。遅れなく毎月返済を続けてきました。
ところが、九月中旬、連帯保証人から突然の電話が入りました。
担保不足が生じたので、連帯保証分の元利金を一括返済せよという内容の文書が、SFCGから送られてきたというのです。
借り手本人の花田さんには何の連絡もありません。
驚いてSFCGに問い合わせると、残金約一千万円を「一括返済せよ」といわれました。
以後、三日おきに怒号交じりの督促の電話が同社側からかかるようになりました。
恐怖心が募った花田さん、思わず「私に死ねというのですか」というと、「そうだ」という返事が返ってきました。
「生きた心地がしなかった」と花田さんは振り返ります。
その後、民主商工会(民商)に相談。花田さんは十一年間で計三千百万円を年利27%で借りていましたが、利息制限法の上限金利(年利15%)で計算し直すと、千八百八十八万円も払いすぎていました。
いま過払い金返還を求める準備を進めています。
全国で被害者
千葉県内で従業員十五人の工場を経営している山内聡さん(59)=仮名=は、運転資金に困ると、SFCGから一回三百万円ずつ借りていました。十月、売り上げが昨年同月比で七百万円減り融資を申し入れると、百万円を今までの借入金の返済に回すことが条件とされました。
「二百万円では会社が回らない。あすにも倒産かと目の前が真っ暗になった」と山内さん。
親会社からは20%のコストダウンを迫られ仕事量も激減していました。
山内さんは「銀行に借入金返済条件の変更を申し入れたら新規融資は受け付けないといわれ、高金利を承知で泣く泣く商工ローンから借りている」と訴えます。
こうしたSFCGによる威圧的な取り立てをめぐる被害は、全国に広がっています。十月三十一日には借り主ら七十五人が取り立ての違法性を訴えて、東京、仙台など七地裁に損害賠償を求めて提訴しています。
利息制限法 お金の貸し借りにともなう利息の上限を定めた法律。借りた額に応じて上限金利は三段階(15―20%)に分かれています。出資法も上限金利(29・2%)を定めています。利息制限法との上限との差はグレーゾーン金利とよばれ、高金利被害の温床の一つになってきました。2006年12月に改正貸金業法が成立したことによりグレーゾーンは撤廃されることになりました。刑事罰を伴う出資法の上限金利は20%に引き下げられ、利息制限法の上限との間の金利で貸し付けた場合は行政処分の対象になります。完全施行は09年末の見込み。
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