2008年11月7日(金)「しんぶん赤旗」
酷使して大もうけなのに
大企業が「派遣切り」
マツダ・日産・キヤノン… 各地で強行
「派遣切り」と呼ばれる派遣労働者らの雇い止め(解雇)が大企業を中心に広がっています。派遣労働者らを使って空前の大もうけをあげながら、減益になると真っ先に切り捨てるやり方に対して、「労働者の使い捨ては許されない。社会的責任を果たせ」との声が上がっています。
「十月十日に契約解除を命じられ、十月末に解雇。会社からは再就職先を紹介できるところはないといわれるし、ショックです」
青森県弘前市。コピー機部品をつくるキヤノン中核企業のキヤノンプレシジョンで働く請負労働者の男性が不安を漏らしました。
同社では労働者四千八百人のうち、非正規雇用が三千四百人。約二百四十人の派遣・請負労働者らが十月末で職場を追われたと報じられています。新工場稼働前の〇七年には市長を先頭に人手確保に奔走しましたが、一年もたたずに雇用喪失に襲われています。
広島市にあるマツダの宇品工場。単身赴任の派遣労働者は、年内で契約打ち切りを通告されました。「残業もなくなり、家族への仕送りも減っていたけど仕事がなくなるなんて。会社からは仕事はないといわれ、田舎に帰っても仕事はないし、どうしたらいいのか」
派遣労働者らは退職金もなく、雇用保険に入っていないため失業手当も受けられないケースが多く、会社の寮などに住んでいる場合は住まいも失うことになります。
愛知県や福岡県など製造業の生産拠点が集中する地域では、中小部品メーカーへの発注が激減し、地元経済を直撃しています。
輸出減などを理由に各企業はいっせいに人員削減に乗り出しています。(別表参照)
自動車ではトヨタグループでトヨタ自動車九州、デンソー、豊田自動織機などが派遣労働者らを削減。トヨタ自動車も来年三月末までに期間労働者五千八百人を削減します。日産自動車、スズキ、マツダなども相次いで派遣労働者らの削減を打ち出しています。
正規労働者に対しても早期退職募集などで削減をすすめており、沖電気は「余剰感が生じた」として中高年の管理職三百人を削減します。
各社とも減益を強調しますが、それでもトヨタ自動車は連結で六千億円の営業利益を見込むなど大もうけぶりは変わりません。しかし、企業側は「雇用は派遣や請負会社の問題」(キヤノン)といって社会的責任を果たそうという姿勢はみられません。
国民的たたかい 共産党呼びかけ
日本共産党は、大企業に雇用を守る責任を果たさせるために国民的なたたかいを呼びかけています。全労連・春闘共闘は「大企業に社会的責任の履行を迫る」(春闘構想)として取り組みをすすめています。
トヨタは5800人計画
トヨタ自動車の木下光男副社長は、六日の二〇〇八年九月中間決算発表の記者会見で、期間従業員について「来年三月末には三千人前後になるのではないか」とのべ、大幅な削減計画を明らかにしました。
期間従業員は、今年三月時点で約八千八百人でした。一年間で約五千八百人も削減する大リストラ計画です。
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