2008年11月5日(水)「しんぶん赤旗」
クローズアップ
突然の閉鎖 ハッピースマイル保育園
子どもは どこへ…
「保育士が代わらないか心配」
株式会社エムケイグループ経営のハッピースマイル保育所・学童保育が突然すべて廃園となり、東京、神奈川、埼玉にある各園に不安が広がっています。(埼玉県・林秀洋)
さいたま市によると、同市内には「ハッピースマイル」の保育所が二、病児・病後児保育所が一、学童保育が三ありました。保育所は二つとも、市独自に無認可保育所を認定・助成する「ナーサリールーム」でした。廃園決定を受けて「さいたま新都心園」(浦和区上木崎)は別会社が運営を引き継ぎました。「武蔵浦和ファーストタワー園」(南区別所)に通っていた子どもは周辺の保育所に移る手続きをしています。
四日朝、「さいたま新都心園」のドアやビルの案内板には、「保育園ミルキーウェイ上木崎園」と書かれた画用紙が張りつけられていました。園の関係者によると、廃園が伝えられた十月三十一日に、さいたま市や新旧運営者が協議し、施設や職員、子どもたちをまるごと新園が引き継ぐと決定。同日中に保護者に説明し、一日から新しい保育所としてスタートしたといいます。職員については「新会社と改めて契約する。処遇は新会社の基準に変更するが、正社員だった人をパートなどにすることはない」(園関係者)としています。
四日朝、四歳の孫が同園に通う男性(64)は「ちゃんとやっているか心配だから見に来た。とりあえずは大丈夫そうなのでほっとしたけど、今後保育士が代わってしまわないか心配。前の園に前払いで納入した保育費用も新しい園に引き継ぐよう要求しているけど、どうなったかまだ聞いていない」と話していました。
「病児・病後児保育室武蔵浦和駅前ファーストタワー園」は閉鎖され、市は運営を引き継ぐところを探しています。学童保育について市は「入所していた児童の行くところがなくならないよう、事業継承を含めていろいろと手配しているところだ」と話しています。
緊急対策申し入れ
埼玉県に党議員団
ハッピースマイル保育園の閉鎖を受け、日本共産党埼玉県議団は四日、緊急対策を埼玉県に申し入れました。申し入れ内容は▽子どもの受け入れ先を確保する▽前払い済み保育料の返還を会社に求める▽埼玉労働局と協力し、従業員の未払い賃金の解決や新しい仕事先の確保を支援する、などです。
柳下礼子県議は「一番影響を受けるのは子どもたち。今後同じようなことが起こらないとも限らない」とのべ、保育事業に参入している企業の経営実態調査を求めました。応対した石田義明福祉部長らは、保育事業の監査はしているが企業本体の経営までチェックできないと説明。廃園に対する関係市との連携について、担当者は「状況について話を聞く程度」とのべました。
ハッピースマイル問題
上小田中、一時閉鎖
川崎市
川崎市中原区にある認可園・上小田中スマイル保育園は一時閉鎖となりました。四日、同園を訪ねると、職員も園児も見当たらず、室内の照明も消えたままでした。暗いなかに、遊具が置かれていました。
近くに住み、一歳の娘と通りかかった母親(35)は「知らなかった。近いからもうちょっとしたら利用したいなと思っていた。残念」と驚いていました。
川崎市によると、同園の児童二十四人は近隣の認可保育園(公営五、民営二)に一時的に転園。十月分の職員の給与は払われていません。廃園前からの保育士の退職があり、職員が園長を除いた三人のみとなったため、保育体制が整わず、一時閉鎖となったと市はのべています。
市は「保育の継続という観点で、できるだけ現在の職員を雇っていただけるよう法人(株式会社保育サービス)にお願いしている」としていますが、同園の実際の職員数は正確に把握していません。
一方、同じ認可保育園で高津区にある溝口スマイル保育園(児童二十二人)は日本保育サービスが事業を継承し、児童は通常通り通園。園長、保育士は新規に契約されています。(神奈川県・河野建一)