2008年11月5日(水)「しんぶん赤旗」

08年 政治考

“外交・経済は大変動期”いうが

自・民も対処策なし


 アメリカ発の金融危機から広がった世界経済の混乱―。株価の乱高下、円の急騰、ドル暴落の懸念など、その混乱は実体経済に波及し、深刻な不況の拡大に警告が発せられています。

既成秩序では

 自民党中堅議員の一人は「既成の政治秩序の枠組みでは外交も経済もどうにも対処しようがない。大変動の時代になってくる。しかし、どうすればいいかといわれると、誰にも分からない」とのべます。

 民主党の若手議員の一人は、「やはりアメリカについていくしかないんじゃないかな。ドルを立て直す方向で努力するんだろう」。こう自信なげに語ります。

 「新自由主義」の破綻(はたん)が誰の目にも明らかになる中で、世界と日本が危機にどう対処するか、今後の進むべき方向性が大きく問われています。国連に新たに設置される金融作業部会の議長に就任するスティグリッツ米コロンビア大学教授(ノーベル経済学賞)は、国際金融システムを「すべての国の繁栄につながるような根本的な改革に取り組むときである」とのべています。アジアでも独自の通貨基金の設立を目指す動きが起こっています。

「永遠の課題」

 民主党政調幹部は、「米国への輸出依存から内需拡大へと言うが、赤字財政で政府支出はもう増やせない。設備投資は個人消費の伸びにかかっている。個人消費は人口減少社会とモノがあふれる状況の中でどうやって増やすか。『イノベーション』(技術革新)で需要を増やすのは限界がある。モデルチェンジが必要だが、マイナス成長は誰も言いたがらない」と厳しい表情です。

 個人消費拡大のポイントである貧困・格差の解消については「誰かが稼いで富を再配分することになるが、皆が同じように稼ぎ、同じようにペイを受けるのは『永遠の課題』だ」としました。

 しかし「永遠の課題」というなら、「解決不能」というに等しいものです。

 小沢氏の側近の一人はこうのべます。

 「民主党の『国民の生活が第一』という打ち出しも、いま資本主義の限界という歴史的位置付けの中で提起することが必要だ。共産党が言ってきたようなことだ。しかし、民主党には『資本主義』という言葉を持ち出すことすら抵抗があり、正面から議論すれば『民主党が壊れる』という懸念が強い。旧社会党系の人びとの間でもこうした傾向は強い」

 同氏は、「これは民主党の『宿命』みたいなもの。つまり自民党と同じということだ」とため息を漏らします。

 ある自民党関係者はのべます。

 「今の情勢では内容が正しいかどうかにかかわらず、『原理』を先に打ち出した方が勝つ。既成の枠組みが壊れつつあるときに、原理の見直し、転換が問われるのは当然だ」

 経済のみならず米国による軍事覇権も破綻を深めています。同氏は「そこは五十年以上原理を一貫してきた共産党にはいい情勢のはずだ」と語りました。(中祖寅一)


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