2008年11月5日(水)「しんぶん赤旗」
農水省が指示文書
事故米売却「3カ月以内」
06年4月 在庫処分促す
紙議員が入手
残留農薬やカビなどが混入した輸入汚染米の不正転売問題で、農水省が「事故米」などの迅速処理を指示する事務連絡を二〇〇六年四月に出し、政府保有の輸入汚染米などの処分を急がせていたことがわかりました。日本共産党の紙智子参院議員が入手した同省提出文書で明らかになったものです。
農水省が〇三年度以降、三笠フーズなどに売却した輸入事故米約五千三百トンのうち、〇六、〇七年度の二年間分が七割を占めており、数字の上でも処分を急いだことがわかります。
問題の事務連絡は、同省総合食料局消費流通課長が、地方農政局食糧部長・農政事務所長等に出した「政府所有物品(事業用)の亡失・損傷事故に係る迅速な処理について」(二〇〇六年四月十一日付)と題した文書。
このなかで「物品(事業用)の事故処理要領」にもとづく事故米などの処理に「長期を要しているものがみられ会計検査院等から事故処理事務が遅いとの指摘を受けている」と指摘。「事故品の早期売却」にあたって「事故発生から事故品売却までの期間」は三カ月以内という「目安期間」を定めています。「平成十八年度(二〇〇六年度)に発生した事故から適用するので」、事務処理に「特段の配慮をされたい」と、事故米などの処分を急がせていました。
地方農政事務所の担当者から「二年前の〇六年の時点で三千五百トン近くあった在庫の全量を、政府はむりやり業者に売り、結果として食用に転用された。これが今回の輸入汚染米転売事件の核心です」という声が出ていました。
農水省は、大量に在庫を抱えた輸入米の処分を急ぐとともに、主食用不適として認定した「事故米穀」の「主食用売却」を推奨する総合食料局長通知「物品(事業用)の事故処理要領」を〇七年三月に出していたことも発覚(本紙十月二十五日付既報)。政府が不要なMA(ミニマムアクセス)米の輸入をつづけてきたことが不正転売の根源となっていたことを裏付けています。