2008年10月28日(火)「しんぶん赤旗」
政治の中身 こう変える 日本共産党の総選挙政策から
消費税 食料品非課税3つの効用
日本共産党は総選挙政策の中で、消費税増税に反対し、食料品非課税を緊急に実施することを提案しています。食料品非課税の効用を見てみます。(山田英明)
価格高騰を抑制
第一の効用は、価格高騰を抑制することです。
八月の消費者物価指数は総合で、前年同月比2・1%の上昇となりました。原油や穀物の価格が世界的に高騰。食料品などの生活必需品が大幅に値上がりしました。(図)
値下がり傾向にあるガソリン価格に比べ、食料品価格は依然高止まり。十月からの業務用小麦粉の値上げをはじめ、缶詰や冷凍食品、豆乳製品などが今月から値上げされています。
毎日いや応なく消費する食品に課せられるのが消費税です。食料品の購入価格を押し上げ、庶民の家計を直撃しています。
消費税を非課税にすれば、商品やサービスの価格を5%引き下げることになります。食料品価格の高騰を抑制し、毎日の買い物から家計の負担を軽減することになります。
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所得格差を是正
第二の効用は、格差を是正することです。
消費税は、低所得者ほど負担が重くなる逆進性という性質をもっています。低所得者ほど収入から消費に回す割合が多くなるためです。
総務省の家計調査(八月、二人以上の世帯)によると、年収が二百万円未満の世帯と同千五百万円以上の世帯の平均年収の差は約十三倍に達しています。ところが、食料費の差は二・二倍にしかなりません。(図)
収入の中で食料費が占める割合を見ると、年収二百万円未満の世帯はこれが三割強に達しています。一方、年収千五百万円以上の世帯では、わずか5・4%です。
食料品の消費税が非課税になると、食料費の支出割合が多くなる低所得者ほど、減税の恩恵を受けることになります。消費税がもつ逆進性を是正し、所得格差を是正することにつながります。
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個人消費を刺激
第三の効用は個人消費を直接刺激することです。
食料品の非課税化による減税効果は、消費者が買い物をした時に表れます。消費者が消費をしないと、その減税効果が及ぶことはありません。
非課税化による価格の抑制効果によって、消費者の消費マインドが向上。消費すればするほど減税効果がもたらされることで、個人消費の活性化につながります。
冷え込んだ個人消費が活性化すれば、経済全体が活性化していくことになります。
1回限りの定額減税
その後に消費税増税
麻生自公政権
麻生自民・公明政権は追加的な経済対策として、所得税・住民税の定額減税の実施を検討しています。しかし、これは「単年度の措置」、つまり、一回限りの減税です。
自公政権は小泉内閣以来、庶民に総額十三兆円、四人家族で約四十万円もの負担増を押し付けてきました。
総額二兆円規模とされるたった一度限りの減税措置では、押し付けた痛みは帳消しにすることはできません。
定額減税は一九九八年にも総額四兆円規模(二兆円規模で二回)で実施されました。
当時は九七年度に実施された消費税増税などの九兆円の負担増によって消費は低迷。定額減税の効果も消費に波及せず貯蓄などに回りました。
民間シンクタンクなどからも、「期待ほど効果は上がらず」(日本リサーチ総合研究所、九八年五月十六日)、「民間需要への波及は限定されたものにならざるを得ず」(日銀、同年八月十四日)と評価されました。
庶民の家計は、総額十三兆円の負担増や所得の低迷にあえいでいます。さらに、金融不安に端を発する人減らし・「合理化」が襲いつつあります。
みずほ総合研究所のリポート(九月九日)は、定額減税の個人消費への影響について「景気刺激策としてよりも、むしろ『景気後退の痛みを和らげる』趣旨の施策として位置付けられよう」と指摘しました。
効果が限定的な定額減税ではなく、経済政策の軸足を大企業から家計に大きく切りかえる抜本策が求められています。消費拡大に即効性のある食料品にかかる消費税の非課税措置が求められています。
増税プログラム
麻生自民・公明政権のシナリオでは、一回限りの定額減税の後に、消費税大増税が控えています。麻生内閣は、消費税増税に向けた「中期プログラム」を早急に策定することをめざしています。
麻生太郎首相は二十三日の与党との協議の中で、「景気回復して初めて増税できる環境が整う。消費税が安定財源になる」(「朝日」二十四日付)と明言。与党に消費税増税の検討を指示しました。麻生首相はすでに、消費税率を二〇一一年ごろから1%ずつ引き上げて、一五年ごろに10%にする構想を打ち出しています。
海外子会社の利益の非課税化や証券優遇税制の延長など、大企業・大資産家には相変わらず大盤ぶるまいの麻生内閣。こうした大盤ぶるまいの財源を、将来の消費税増税でまかなおうという発想が透けて見えます。
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