2008年10月26日(日)「しんぶん赤旗」
核廃絶妨げる抑止力論
国連事務総長が指摘
【ワシントン=小林俊哉】潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は二十四日、ニューヨークの国連本部で講演し、核抑止力論に固執していては核不拡散も進まないと述べ、核兵器保有国に核軍縮の推進を求めました。
潘氏は「核兵器のない世界というのは、世界がめざすべき最も高い善だ」と主張。「一部の国は、核兵器の保有を地位の象徴のようにみなし、核兵器保有で他からの核攻撃を抑止することができるとみなしている。これこそ、いまだに核兵器が存在する理由だ」と指摘しました。
潘氏は「まず第一に、核不拡散条約(NPT)参加国、とくに核保有国が条約上の義務を果たし、核軍縮に向けた実のある交渉に取り組むよう強く求める」と強調しました。
このほか、国連安保理常任理事国が非核保有国に対する核不使用を保証し、核軍縮の議論を開始することや、包括的核実験禁止条約(CTBT)を発効させるための新たな努力などを、加盟国に求めました。
同日の講演は、民間団体イースト・ウエスト研究所が主催した会合で行われたもの。「核兵器のない世界」を呼びかけているキッシンジャー米元国務長官らも参加しました。
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