2008年10月19日(日)「しんぶん赤旗」
河村官房長官の事務所費疑惑
一等地の高級マンション 「無償提供」というが
収支報告書には記載なし
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河村建夫官房長官(衆院山口3区)の三つの政治団体が二〇〇七年までの三年間に、元公設秘書が使用するマンションを「主たる事務所」として届け出て、事務所費など計約二千二百万円を計上していた問題は、発覚してから二週間以上たったのに、いまだに同長官から納得のいく説明がなされていません。どういう問題があるのか、ふりかえってみました。
この政治団体は、「建政会」「建隆会」「国民政経同友会」。東京都千代田区一番町のマンションの一室が「主たる事務所」の所在地です。三団体とも河村氏の長男で、公設秘書の建一氏が代表と会計責任者を兼ね、事務担当者も河村氏の資金管理団体「建友会」の事務担当者が兼任しています。
大使館に隣接
問題のマンションは、千鳥ケ淵を望み、英国大使館に隣接する一等地にある十四階建て。その八階の約二百平方メートルの一室が「事務所」で、河村氏が地元山口の選挙地盤を受け継いだ故田中龍夫衆院議員の親族が所有。文相、通産相を歴任した田中議員の公設秘書から河村氏の公設秘書に横すべりした女性秘書が「寝泊まりすることもあった」(河村氏)といいます。
河村氏は、三日の記者会見で、「電話応対の職員を置くなど政治活動の実態はあった」「部屋は、三つの政治団体が事務所として無償で使わせていただいておった」とのべました。
たとえ、活動実態があったとしても、事務所などを無償提供された場合、政治家側は、家賃相当額を「寄付」として政治資金収支報告書に記載する必要があります。ところが、三団体には、その記載がありません。
三団体の収支報告書によると、マンションの所有者である田中龍夫氏の親族は、〇五年に二つの政治団体に各百五十万円、一団体に五十万円の計三百五十万円、〇六年には二つの政治団体に各百万円の計二百万円の寄付(献金)をしています。
寄付の上限は
政治資金規正法は、個人の一政治団体への寄付を年間百五十万円が上限としています。親族は三団体に対し、年間四百五十万円の寄付が上限となり、〇五年は百万円、〇六年は二百五十万円、〇七年は四百五十万円が、あと寄付できる額です。
ところが、問題のマンションは、不動産業者によると、周辺の賃料は坪当たり月額約一万八千円、二百平方メートルだと月額百万円前後。年千二百万円を無償提供とすれば、個人の寄付上限額を大幅に上回ってしまいます。
河村氏は、七日の衆院予算委員会で、「(家賃相当分を)記載することが適当な場合もある。専門家と相談して、必要な手続きを取りたい」と答弁しました。十五日の参院予算委員会でも、「書類をそろえて説明したい」とのべました。
しかし、いまだに収支報告書の「訂正」などの措置はとられていません。河村氏の対応が注目されます。