2008年10月15日(水)「しんぶん赤旗」

イラク戦争 情報操作

米国防総省 影響下の元将校をテレビに

通信法違反の疑い 独立機関調査開始


 米国防総省がイラク開戦直前の二〇〇二年以来、元米軍将校を使い、テレビのニュース番組などに「軍事評論家」として登場させ、自分たちに都合のよい見解を報道させていたとの疑惑をめぐり、米政府の独立機関で放送・通信事業を監督する連邦通信委員会(FCC)がこのほど調査に乗り出しました。


 米メディアによると、調査対象となっているのはCBS、ABC、NBC、CNN、FOXの五大テレビネットワークと十九人の元将校です。

 元将校らは国防総省と契約を結んでいる企業から報酬を得ながら、そのことを視聴者に隠したままテレビ・ラジオに登場、イラク戦争などについて米政府に有利なコメントを述べていたとされます。こうした行為は通信法違反にあたります。

 こうした電波メディアを使った情報操作は、米紙ニューヨーク・タイムズが今年四月に暴露。それを受けて、米下院エネルギー・商業委員会のディンゲル委員長(民主)らがFCCに調査を求める書簡を送っていました。

 ニューヨーク・タイムズによると、国防総省は軍事契約や予算に影響力を持つ同省幹部らを使って、元将校らに対し個別に、米軍に都合のよい情報を提供。チェイニー副大統領やゴンザレス司法長官(当時)、ハドリー安全保障担当補佐官ら政府高官がそうした場に出席したこともあったといいます。

 それを受けた元将校らは、誤った情報や誇張した情報だと思いながらも、政府の言い分を繰り返しました。中には、国防総省との関係を断ち切られることを恐れて、疑問を口にできなかった人もいたといいます。

 FCCは十月七日、関係者に書簡を送り、問題の調査に乗り出すことを明らかにしました。FCCのエーデルスタイン理事は調査の開始を歓迎するとして、「われわれにはこの調査を追求し、速やかに結論づける責務がある」と表明しました。(山崎伸治)


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