2008年10月9日(木)「しんぶん赤旗」
新テロ法案 本会議質疑抜き
民主、採決を容認
補正予算案にも賛成
与党が九日の衆院本会議で審議入りを求めていた、自衛隊によるインド洋での給油活動を延長するための新テロ特措法改定案について、八日、民主党が採決を容認する姿勢に転換しました。八日の衆院議院運営委員会理事会は、本会議での質疑を省略し、テロ特別委員会で直接、審議入りすることを決めました。また、衆院本会議は同日、政府提出の補正予算案を採決し、自民、公明、民主、国民新の各党の賛成で可決、参院に送付されました。日本共産党と社民党は反対しました。
補正予算案は、衆院予算委員会で、六、七両日に基本的質疑を、八日に締めくくり総括質疑をおこなっただけでのスピード採決となりました。早期の解散・総選挙を求める民主党は、この日程を容認するとともに、討論に立つこともなく補正予算案に賛成しました。
日本共産党の笠井亮議員は、衆院本会議で補正予算案への反対討論に立ち、政府には、貧困と格差を広げた「構造改革」路線への反省がないとしたうえで、「いま必要なことは、一部の輸出大企業のもうけの応援だけを追求し、国民には痛みだけを押し付ける政治を根本からただし、内需主導・家計に軸足を置く経済に切り替えることだ」と強調しました。
新テロ特措法延長問題では、民主党はこの日、突如、本会議での審議を取りやめ、委員会で短期間審議し、採決するよう表明しました。日本共産党の佐々木憲昭議員は、衆院議運理事会で「審議するのであれば、重要法案であり、本会議でやるべきだ」とのべ、本会議質疑の省略を厳しく批判しましたが、与党と民主党が押し切りました。
これを受け九日に衆院テロ特別委員会の理事懇談会が開かれ、審議日程を協議する予定です。民主党幹部からは「(衆院では)十日にあげる」という声が出るなど緊迫した状況となっています。
与党の強行姿勢とともに、民主党の国会審議をないがしろにする態度が鮮明となりました。
党略でなく徹底審議を
こくた国対委員長が会見
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日本共産党の、こくた恵二国会対策委員長は八日、国会内で記者会見し、補正予算案について、与党と民主党が国政上の争点を明確にするに足る十分な質疑をおこなうことなく、三日間で衆院を通過させたことを厳しく批判するとともに、新テロ特措法改定案審議入りに対する民主党の態度について、「党略的な態度であり、まったく許せない」と指摘しました。
こくた氏は、新テロ特措法改定案は廃案にすべきであり、審議入りすべきではないという日本共産党の立場を強調。同時に、与党側が審議入りするという以上、「国政上の大争点として議論する」と述べ、本会議を含めた徹底した審議をおこなうべきだとの考えを表明しました。
そのうえで、民主党が同法案の早期採決の理由を「新しい争点ではない」などとしていることについて、「アフガンの事態には極めて重要な変化が出ている」と力説。この間、アフガンのハリリ副大統領が反政府勢力タリバンの指導者、オマル師に対し、和解に向けた交渉を求める手紙を出したこと、国連事務総長アフガン特別代表が、軍事的対応ではテロに勝利できないと表明したことなどをあげ、「戦争でテロがなくならないことがはっきりした」「七年間の戦争の結果、アフガンがどうなったかを真剣に議論する必要がある」と強調しました。