2008年10月5日(日)「しんぶん赤旗」
パイロットら集会
規制緩和が空の安全脅かす
「パイロットの過労と航空安全」と題して規制緩和がすすむ航空業界の輸送の安全とパイロットの労働条件・労災認定基準を考える集会が四日、都内で開かれました。日本乗員組合連絡会議の主催。
全日空で機長が乗務中に脳疾患で倒れる事故が発生、日本航空は就業規則を一方的に改悪、全日空でも労使協定で勤務時間延長が行われています。
集会では、機長の男性が、長時間勤務や連続勤務が増えるなど勤務時間改悪の実態を報告。背景に人件費削減と安全犠牲の規制緩和・競争政策があると指摘しました。
全日空機長の労災訴訟を担当する米倉勉弁護士は、発症の予兆があったのに交代要員がなかったとのべ、労災不支給とした一審判決は運航業務の過重性や時代遅れの勤務基準、勤務時間の改悪を見ていないと語りました。
労働科学研究所の佐々木司さんは、調査研究を示しながら、身体拘束や長時間労働、不規則勤務など乗務員の労働条件が睡眠不安や疲労の進行を招くことを明らかにしました。
機長や研究者、弁護士らによる討論では、ヒューマンファクター研究所長の黒田勲さんが、欧州の疲労回復の取り組みを紹介しながら、安全優先の組織的取り組みを強調。日本航空機長組合の野口信二さんは、乗務時間規制など改定を求めていくとのべました。