2008年10月5日(日)「しんぶん赤旗」
米金融法案が成立
下院も可決 最大75兆円投入
【ワシントン=西村央】米下院本会議は三日、先に上院を通過した不良債権買い取り法「金融支援法案」の修正案を賛成二六三、反対一七一の賛成多数で可決しました。ブッシュ大統領が署名し、成立しました。下院は先月二十九日に否決してから、預金保険の上限引き上げなどの修正を受け、一転可決となり、最大七千億ドル(約七十五兆円)という巨額の公的資金投入となりました。一度は反対に回った議員取り込みのために修正はあったものの、大銀行救済のために国民の血税を注ぎ込むという基本点は変わっていません。同法によって金融不安が収束に向かうかどうかについては不透明です。
同法は公的資金枠七千億ドルのうちまず二千五百億ドルを支出するとしています。その後、大統領判断で追加できる額として一千億ドルを設定。残りの三千五百億ドルは改めて議会の承認が必要と三段階のものとなりました。
公的資金での不良債権買い取りを監視する委員会の設置を定めたほか、金融機関が破たんした際の預金保護をこれまでの十万ドルから二十五万ドルに引き上げるという内容も盛り込まれました。
景気の停滞や、住宅市場や雇用環境の悪化など、米経済をおおっている問題についての解決方向は示されていません。
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