2008年10月5日(日)「しんぶん赤旗」
麻生自公政権
まだやるか 大企業減税
庶民には消費税10%
空前のもうけをあげてきた大企業にはいっそうの減税、庶民には消費税増税―。麻生自民・公明政権がもくろむ税制「改革」の姿が見えてきました。
「海外子会社利益の国内還流のための環境整備をはじめ、取り組むべき税制の課題は多岐にわたる」。麻生太郎首相は一日の衆院本会議で、企業の海外利益の非課税化の検討を明言しました。
首相は自民党総裁選中にも「海外で稼いだカネを持ち帰ってきたときには税金をかけない」(九月十四日、民放番組)と公言。自民党の細田博之幹事長は一日の衆院代表質問で「法人税の減税をはじめ、設備投資促進減税、研究開発投資減税…」と麻生政権の大企業が有利になる減税メニューを並べました。
庶民向けには一回限りの定額減税だけ。その後は、消費税率を二〇一一年ごろから毎年1%ずつ上げて「一五年ぐらいまでに10%」にするというのが、麻生首相の構想です。消費税1%で約二兆五千億円の増税です。
小泉内閣以来の国民の負担増は、定率減税の廃止や社会保障改悪などで年十三兆円(七年累計で五十兆円近く)。四人家族で年四十万円の負担増です。同じ期間の大企業・大資産家減税は五兆円、十年前と比べると七兆円です。
麻生内閣は、これからも“庶民には増税、大企業・大資産家には減税”という逆立ちした税制「改革」に熱中しようとしています。
民主も理解示す
民主党は、日本経団連との「政策を語る会」で法人税の実効税率引き下げに理解を示し、将来の消費税増税を否定していません。民主党の鳩山由紀夫幹事長は「(消費税増税の)議論は避けられない」と語っています。
日本企業の負担 独仏の7〜8割
日本の企業の公的負担(税と社会保険料の合計)は、ヨーロッパ諸国に比べ低水準です。政府税制調査会の会合(二〇〇七年十月二日)に示された資料によると、自動車製造業では、日本企業の公的負担は、フランスの73%、ドイツの82%です。
日本では、研究開発減税や外国税額控除など、大企業に数々の優遇税制があります。このため、法人実効税率は約40%なのに、トヨタ自動車の〇七年度の法人税負担率は28%です。また、大銀行十三行の負担率はわずか4%です。
共産党「軍事費・財界優遇正せ」
日本共産党は「軍事費や大企業・大資産家優遇税制をただせば、消費税に頼らなくても安心できる社会保障は築ける」(志位和夫委員長、二日の衆院代表質問)と主張。消費税増税に反対し、消費税の食料品非課税や高齢者増税を元に戻すことを提案しています。
海外子会社の利益非課税 現行、企業が海外子会社から受け取った配当などについては、その子会社が国外で納めた税金を控除(外国税額控除)した上で、日本の法人税率で課税されています。経済産業省は2009年度税制「改正」意見で、この制度を改め、法人課税の対象を国内所得に限定することを求めています。海外での売上高比率が高い大企業が、海外でどれだけ大もうけをしても、海外子会社からの受取配当には、課税されなくなります。
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