2008年10月2日(木)「しんぶん赤旗」

無法キヤノンに反撃

偽装請負告発の元期間社員

雇い止め撤回求める


 キヤノンの偽装請負を告発し、直接雇用されて十一カ月後の八月末に雇い止めされた有期雇用の労働者が一日、解雇権の乱用で無効だとして解雇撤回を求める仮処分を東京地裁に申し立てました。キヤノンは運動と世論に押されて派遣解消を表明、直接雇用と請負への転換をすすめてきましたが、ほとんどが有期雇用。使い捨て雇用を続ける社会的責任が問われることになります。


東京地裁に申し立て

 申し立てたのは、元期間社員の宮田裕司さん(29)で、キヤノン非正規労働者組合の組合員。二〇〇六年三月からキヤノン宇都宮光学機器事業所(栃木県)に派遣され、半導体製造装置のレンズ加工などに携わってきました。同年十月に偽装請負を告発。栃木労働局が偽装請負を認定し、〇七年十月から宮田さんら多くの労働者が最長二年十一カ月の期間社員として直接雇用されました。

 宮田さんらは、偽装請負是正というなら正社員化すべきだと求めてきましたが、キヤノン側は宮田さんを「技能レベル」を口実に雇い止めしたものです。

 申立書では、キヤノンと労働者の間には「黙示の労働契約」が成立しており、雇い止めは解雇権の乱用だと指摘。宮田さんは熟練した技術を持っており、解雇理由はないと批判し、雇い止めは告発に対する報復であり違法だとしています。

 記者会見した宮田さんは、「泣き寝入りするのはうんざり。大きく行動に移し、頑張りたい」と語りました。

 久保木亮介弁護士は、「これは一労働者の解雇事件ではない。今後、同じような雇い止め攻撃が考えられる」と指摘。「偽装請負に対する無反省さを社会的に包囲する一石を投じたい」とのべました。

 松下プラズマの偽装請負を告発した労働者が雇い止めされた事件では大阪高裁が四月、派遣先と労働者の間に「黙示の労働契約」が成立していると認め、松下側に期限の定めのない雇用を命じています。



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