2008年9月29日(月)「しんぶん赤旗」

主張

麻生首相の消費税発言

段階的増税は事前に阻止を


 麻生太郎首相が自民党総裁選中に消費税増税について、「二〇一一年から1%ずつ上げ、一五年には税率を10%に」と発言したことに、警戒の声が広がっています。

 二〇一一年から増税するとなると、前年の一〇年までには国会で増税法案を通すことになります。その前には、政府や自民党の税制調査会で、増税の方針をまとめることになります。二〇一一年からの段階的増税は先の話ではなく、文字通り目前の熱い問題です。間近に迫った総選挙の結果が大きく影響することになります。

ねらいは増税の地ならし

 もともと麻生氏は、社会保障の財源を理由に、消費税の税率を10%に引き上げるというのが持論でした。消費税の段階的増税の方針は、「日本経済は全治三年」だとして三年間は増税を見送る代わりに持ち出してきたものです。

 段階的にといっても、五年間かけて5%引き上げるのですから、結局10%の税率に引き上げるのと同じことです。段階的にやるというのは、国民の反発を弱めようという策略にすぎません。

 「全治三年」の間は消費税の増税を実施しないというのも別に新しいことではなく、福田康夫内閣の伊吹文明財務相も、「二年から三年のレンジ(幅)でシナリオを示す」といっていました。麻生首相の方針は、前内閣からの既定方針です。

 見過ごせないのは、「段階的に」などといいながら、消費税の増税は避けられないもののように国民に思わせるのが、麻生氏のこんたんだということです。三年間は議論を凍結するなどといいながら、「中福祉中負担をめざすなら10%はひとつの目安」だとか、「税率は二種類あってもいい」との発言を重ねていることからも、増税の地ならしを図るねらいは明白です。

 低所得者ほど負担が重い逆進的な消費税は、社会保障の財源にはもっともふさわしくないものです。消費税の増税は、大企業や大金持ちの負担を軽くする「構造改革」路線のツケを、国民に押し付けるものにすぎません。

 麻生内閣では首相だけでなく、法人税減税の一方、消費税の増税を主張する中川昭一財務相や、麻生氏同様、消費税は10%にと主張する与謝野馨経済財政担当相など、消費税増税論者が主要ポストを占めています。日本経団連も新内閣への要望の第一に、「消費税を含む税制抜本改革」を挙げています。

 増税の地ならしを図る動きに警戒を怠らず、政府や自民党の税制調査会に増税案を持ち出してくる前に、事前に消費税増税の動きを封じることがいよいよ重要です。

財源は消費税に頼らず

 もともと日本共産党が総選挙政策で提案しているように、五兆円にのぼる軍事費や政党助成金などあらゆるムダにメスを入れ、大企業や大資産家にもうけに応じた負担を求めれば、社会保障や暮らしを支える財源は確保できます。

 麻生政権の与党の自民党や公明党だけでなく、民主党も大企業本位・アメリカいいなりの政治にメスが入れられず、大企業に応分の負担を求めるといえないから、消費税に頼ることになるのです。

 消費税増税の企てを阻止するうえで総選挙は決定的な意義を持ちます。消費税の増税に反対し消費税に頼らない財源を示している日本共産党の前進・躍進が重要です。



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