2008年9月29日(月)「しんぶん赤旗」
薬害肝炎
訴訟解決へ合意書
被告企業社長が謝罪
薬害C型肝炎訴訟で、全国原告団(山口美智子代表)と同全国弁護団は二十八日、大阪市内で、被告企業の「田辺三菱製薬」(大阪市、旧ミドリ十字)および株式会社ベネシス(大阪市)との間で訴訟解決にかんする「基本合意書」に調印しました。
基本合意書では、(1)多数の感染被害を出したこと(2)被害者と家族が長期にわたり肉体的・精神的に苦痛を負ったこと(3)被害拡大防止のための措置を講じることが可能であったこと(4)集団感染から二十年以上が経過し、医療記録が廃棄された実態があること(5)四百十八人の感染被害者情報が被害者には伝えられず、感染の事実を知らないまま病状を進行させたものもあること―を指摘。
被告企業は「感染被害者の方々に甚大な被害を生じ、その被害拡大防止し得なかった責任を認めて、感染被害者及び遺族の方々に深くおわびする」として、「再発防止に最善かつ最大の努力を行う」と表明しています。
恒久対策として、(1)投与を受けた者の確認の促進と被投与者に対する検査のよびかけへの協力(2)田辺三菱製薬などが保管する血液製剤の納入実績データの開示、治療のための新薬の開発、検証会議への協力、継続協議の場の設定などを約束しています。
謝罪集会では、田辺三菱製薬の葉山夏樹社長が謝罪し、原告六人が意見を表明しました。
山口代表は被告企業に対して「人生を狂わされて、命を奪われた人たちの思いを本当にお分かりになっているのでしょうか」と問いかけ、葉山社長の謝罪について「残念ながら薬害防止に気概を感じることができなかった」と批判。再発防止に全力をあげることを強く求めました。
原告団と国は二月に和解し、すでに薬害被害患者らに給付金を支払う救済法が成立しています。