2008年9月28日(日)「しんぶん赤旗」
主張
中山国交相発言
問題閣僚任命した首相も同罪
成田空港の整備の遅れを「ごね得」と誹謗(ひぼう)し、日本は「単一民族」といいはる、さらには大分での教員採用汚職にかこつけ「日教組が強い県は学力が低い」と中傷する―異常きわまる発言で批判されてきた、中山成彬国土交通相が辞意の意向を固めました。
中山氏に大臣を続ける資格がなかったのは明白です。中山氏を任命した麻生太郎首相の責任も厳しく問われなければなりません。
一片の道理も真実もない
中山氏の発言に、一片の道理も真実もなかったのは明らかです。
成田空港の整備の遅れが住民の「ごね得」によるものだというのは、中山氏も、所管した国交省の事務当局の説明を受けて撤回したように、事実に反します。国交省も認めるように、政府が住民の理解を得ることなく建設を進めたことが遅れの最大の原因です。中山氏の発言は、国のやることへの反対は認めないという住民敵視の立場を示すだけです。
日本は「単一民族」というのも、全く事実に反します。政府は国連の「先住民権利宣言」に賛成し、ことし六月には衆参両院の本会議が、アイヌ民族を日本の「先住民族」と認め、「総合的な施策の拡充を図る」ことを全会一致で決議しています。中山氏の発言は、アイヌ民族の尊厳を傷つけるとともに、国会の決議をないがしろにする点でも重大です。
大分県教委の教員採用汚職事件に関連して、「日教組が強い県は学力が低い」などと中傷したのは、事実に反するだけでなく、何より子どもたちの心を傷つける、まったく配慮に欠けた発言です。
しかも中山氏は、文部科学相として「全国いっせい学力テスト」を推進したのはそのことを確かめるためで、それは確認されたから「もう学力テストは役目を終わった」とまでいうのです。国民の税金を投入した「学力テスト」を、自らのゆがんだ考えを確認するために推進したというのは驚くばかりです。そんな「学力テスト」はただちに中止すべきです。
中山氏は、「日教組」発言については撤回を拒否し、二十七日になっても「日教組は日本の教育のがん」「ぶっ壊すために火の玉になる」などと発言しています。文字通り“確信犯”としての発言というしかありません。
ことは閣僚として自覚を欠いたとか、舌足らずで誤解を招いたというものではありません。発言は中山氏の本音であり、中山氏に閣僚としてはもちろん、国民に選ばれる政治家としても不可欠な最低限の資質、最低限の民主的感覚さえないことを示すものです。閣僚の資質に欠けた中山氏が、その職にとどまることが許されなかったのは当然です。
侵略肯定の「靖国」派
重要なのは、中山氏がこうした資質の持ち主であることはよく知られていたのに、麻生氏が閣僚に任命したという事実です。
中山氏は文科相時代から、「教育勅語にはいいことが書いてある」とか、「教科書から『従軍慰安婦』の記述が減ってよかった」と発言してきた、自民党内屈指のタカ派で、過去の侵略戦争を肯定する「靖国派」の一人です。麻生氏の任命責任は重大です。
首相自身の責任がきびしく問われるのは避けられません。