2008年9月28日(日)「しんぶん赤旗」

自公姑息

後期医療「見直し」一転「維持」

総選挙へ「ごまかし作戦」


 解散・総選挙を前に、後期高齢者医療制度をめぐって政府・与党が大きく動揺しています。「大胆に見直す」発言が一転して「根幹は維持する」に―。七十五歳以上を差別する医療制度への国民の怒りにおびえながらも、制度存続に固執する与党の矛盾です。

 十九日夜、舛添要一厚生労働相は突如、七十五歳という「年齢区分の廃止」など「新しい医療制度の創設」を口にしました。一部新聞は「後期高齢者医療を廃止」と報道。麻生太郎幹事長(当時)も二十一日、「抜本的に見直す必要がある」と発言しました。こうした発言は、政府自ら制度の破綻(はたん)を認めるものです。

 一方、制度の堅持を主張してきた自民・公明の幹部たちからは「私はいやしくも政調会長だが、聞いていない」(公明・山口那津男氏)、「抜本的改革というと、もともと全部悪いという意味になってしまう」(自民幹部)と巻き返し。麻生氏も一夜にして「制度自体は悪くない。時間をかけて説明したほうがいい」(二十二日)と、発言を一変させました。

 二十三日の自公連立政権合意では「より良い制度に改善する」と、現行制度の堅持を明記。一方で「見直し」をにおわすことで、制度の争点化を避ける与党の姑息(こそく)な「国民だまし」作戦であることは明らかです。

 もともと舛添氏の念頭にあったのは、企業で働く七十五歳以上の人が、健康保険組合などに継続して入れるようにするという案にすぎません。対象は、制度に加入する千三百万人のうち約三十五万人(2・7%)に限定されたものでした。

 与党の「ごまかし作戦」は国民には通用しません。二十六日放送のANN世論調査では、政府・与党の「見直し」を信用できない人が49%と半数近くにのぼり、信用できる(33%)を大きく上回りました。

 一連のてん末は、自公政権では、国民の切実な願いである制度の廃止には踏み込めないことを明らかにしました。一貫して制度に反対してきた日本共産党を総選挙で伸ばすことこそ、制度を撤廃させる大きな力です。



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