2008年9月27日(土)「しんぶん赤旗」
第7回中央委員会総会
志位委員長の幹部会報告
志位和夫委員長が二十六日、第七回中央委員会総会でおこなった幹部会報告と結語は次の通りです。
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会議に参加されたみなさん、CS通信をご覧の全国のみなさん、おはようございます。私は、幹部会を代表して、第七回中央委員会総会への報告をおこないます。
この中央委員会総会を招集した最大の目的は、目前に迫った衆議院選挙での勝利にむけた全党の総決起態勢をつくり、強めることにあります。あわせて党規約にもとづいて第二十五回党大会の延期の措置を提案したいと思います。
総選挙勝利にむけた政治・組織方針の基本は、すでに五中総決定、六中総決定、九月三日の都道府県委員長会議の報告で示されています。それらを前提にして、いくつかの活動の強化方向について報告します。
一、衆議院選挙の政治論戦について
まず衆議院選挙の政治論戦について報告します。
政治論戦の基本的姿勢として強調したいのは、“国民の切実な要求・関心から出発して、異常な大企業中心・アメリカいいなりという「二つの政治悪」を正すわが党の日本改革の方針を訴える”という立場を、一貫して堅持してたたかうということであります。昨日発表した総選挙政策も、この見地が貫かれています。
報告では、そのさい留意してほしい点を、四点ほどのべたいと思います。
これまで訴えてきたこと、語ってきたことが、そのまま熱い争点になる
第一は、これまで全党のみなさんが訴えてきたこと、語ってきたこと、たたかってきたことが、どれもそのまま総選挙の熱い争点になっているということであります。わが党は、五中総以降、一連の国政の基本問題についての論戦や提言を攻勢的におこなってきましたが、それが政治を動かし、選挙の争点にもなっている。ここをまずつかんでいただきたいと思います。
5中総以降にとりくんだ論戦や提言が、選挙の争点に
「働く貧困層」を解消する、派遣労働をはじめ、非人間的な「使い捨て」労働を正すという問題は、この選挙の熱い争点であります。労働者のたたかいとわが党の奮闘があいまって、厚生労働省の労働政策審議会も、きわめて不十分ながら規制強化の方向を打ち出さざるをえなくなるところまで、現実政治を動かしてきました。わが党が主張しているような派遣法の抜本改正をはかるのか、小手先の手直しでお茶を濁すのかをはじめ、人間らしい労働のルールをつくる方向への転換をはかるかどうかは、この選挙の重大な争点であります。
社会保障の問題では、後期高齢者医療制度の問題が、いよいよ大争点になってきました。国民世論と党の論戦におされて、この間、政府・与党内からも制度の「抜本見直し」の声が出るなど、大きな動揺が生まれています。動揺しながら、なお制度にしがみつくという、深刻な矛盾に立ち至っているのが、政府・与党であります。そういうもとで、この高齢者差別法の原型が打ち出された当初から反対をつらぬき、国政の大争点におしあげてきた日本共産党をのばして撤廃という決着をつけることを、大いに訴えていこうではありませんか。医療、年金、介護などの切り捨ての根本にある、毎年二千二百億円の社会保障費削減路線をやめ、社会保障の拡充に転換することを主張してたたかおうではありませんか。
農業と食料をめぐって、汚染米など食の安全にたいする不安が深刻になっています。国際的な食料不足と投機マネーによって、穀物の価格高騰がおこり、食料品の大幅値上げが家計を直撃しています。これらはわが国の食料の六割が外国頼みとなっていることが、いかに危険かを示しています。こうしたもとで、わが党が三月に発表した「農業再生プラン」――食料自給率を当面50%台に引き上げることを国政の最優先課題にして、そのために農産物の価格保障・所得補償をはかり、国境措置の維持・強化で「食料主権」をまもるという方向が、いよいよ国民的課題となっています。
消費税増税と財源問題はどうか。麻生首相が、消費税について「二〇一一年から1%ずつあげて、二〇一五年には10%に」と言明したなかで、消費税増税問題が大きな争点となってきました。日本共産党は、このくわだてにきっぱり反対をつらぬくとともに、(1)年間五兆円の軍事費をはじめあらゆる無駄にメスを入れ、(2)大企業・大資産家にもうけ相応の負担を求めれば、消費税に頼らなくても安心できる社会保障の財源はつくれるという、責任ある財源問題での主張を大いに押し出していきます。
景気対策をめぐっては、世界経済の暗転のもとで、日本経済のあり方が問われています。その一番の問題は、「構造改革」路線の結果、日本経済が極端な「外需頼み、内需ないがしろ」の脆弱(ぜいじゃく)な体質に陥ってしまったことにあります。この路線と体質をそのままにしておいて、いくら「カンフル剤」を打ち、「ばらまき」をしても、問題は解決しません。わが党が主張しているように、人間らしい労働のルールをつくる、社会保障の拡充、日本農業の再生、「大企業に減税、庶民に増税」という「逆立ち」税制を正すなどの改革をはかり、経済政策の軸足を大企業から家計に転換し、外需頼みから内需主導に転換することこそ、日本経済の前途を開くうえで、何よりも重要となっています。
海外派兵について、麻生首相は、「世界各国がテロとたたかっている中で、日本だけが撤退できない」といって、アフガニスタン戦争支援のための自衛隊派兵に固執しています。これにたいして、「戦争でテロはなくせたか」という大きな角度から、政府・与党の言い分に理がないことを糾明しながら、自衛隊撤兵を求めていくことも、重要な争点であります。
切実な要求から出発して党の支持を訴えることはだれでもできる
これらはどれもすでに語ってきたことばかりです。それを大いに語る。すなわち政治論戦は難しくありません。あらためて勉強しなおさなければ対話に踏み出せないということはありません。このことをとくに強調したいと思います。
そしてどの分野、どの問題でも、国民の暮らしは、「構造改革」によって破壊され、その痛みの深刻さ、要求の切実さは、これまでにないものとなっています。これはどんな策略を弄(ろう)してもごまかしがきかないものであります。国民の切実な要求・関心から出発して党の支持を訴えることはだれにでもできるということも、強調したいのです。
これはこの間の衆院選と比べても、大きな違いがあります。二〇〇三年の総選挙は、財界主導で「二大政党づくり」という新しいわが党封じ込めの一大戦略が持ち込まれ、その正体を暴きながらのたたかいとなりました。二〇〇五年の総選挙は、「郵政民営化」という逆風・突風が押しつけられ、この問題での解明をおこないながらのたたかいとなりました。もちろん今回の選挙でも、論戦の発展の過程で新しい問題が生まれたら、どんな問題でも攻勢的に対応していくことは言うまでもありませんが、論戦の基本は、わが党が攻勢的に主張してきた問題が、そのまま選挙の熱い争点になるという点で、こんなにたたかいやすい選挙はない。ここに確信をもって、気軽に、意気高く、国民の中に足を踏み出そうではないか、ということを訴えたいと思うのであります。(拍手)
国民の切実な要求と「二つの政治悪」とのかかわりが見えやすくなっている
第二は、いまのべたどの問題でも、根っこをたどると、異常な大企業中心・アメリカいいなりという「二つの政治悪」にぶつかる。この政治悪を正し、「国民が主人公」の日本をめざして、政治の中身を変える立場を持つ党をのばしてこそ、国民のどんな要求でも実現の道が開かれます。
私が、ここで強調したいのは、国民の切実な要求と「二つの政治悪」とのかかわりが、あらゆる問題でこんなに見えやすくなっているときはないということであります。ここにも確信をもって、そのことを大いに語っていきたいと思います。
どんな問題も根源をたどると「二つの政治悪」に直結する
たとえば、「働く貧困層」が広がった根源をたどりますと、一九九五年に日経連が打ち出した「新時代の『日本的経営』」で、「使い捨て」自由の不安定雇用を増やすという号令をかけたことがはじまりです。後期高齢者医療制度をはじめとする社会保障切り捨ても、二〇〇二年以来続けている毎年二千二百億円の社会保障費削減路線が根源にありますが、その号令をかけたのも、「経済財政諮問会議」のメンバーだった経団連会長でした。農業と食料の問題も、ここまで自給率が下がった原因は、アメリカによる輸入自由化圧力とともに、それに迎合して工業製品の輸出と引き換えに日本農業の破壊をすすめた財界の横暴勝手にぶつかります。さらに、社会保障を支える財源問題の核心は、軍事費とともに、大企業・大資産家減税にメスを入れられるかどうかにあります。ここにメスを入れられないと、必然的に消費税しかないという増税論にゆきつくことになります。こうして、暮らしをめぐるあらゆる問題が、「あまりにひどい大企業中心」という「政治悪」に直結してくるのであります。
海外派兵、基地問題、憲法問題など平和をめぐる問題の根源も、「異常なアメリカいいなり」という「政治悪」にぶつかります。米高官からの「ショー・ザ・フラッグ」の一言でインド洋に海上自衛隊を出し、「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」の一言でイラクに陸上自衛隊を出し、米国のいわれるままに基地強化をはかり、憲法九条まで差し出す。この異常な従属国家の根本に、日米安保条約があります。
綱領と情勢の響き合いという状況が広がる
このように、国民の切実な願いと、「二つの政治悪」を正す党の綱領路線が直結する情勢――綱領と情勢の響きあいという状況が展開しています。それは全国のみなさんも「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」などのとりくみを通じて実感されていることだと思います。ここにも深い確信をもって、大いに綱領と日本改革の方針を語り、今回の選挙を、「国民が主人公」の立場にたつ民主的な政権への大きな一歩を踏み出す選挙にしていこうではありませんか。(拍手)
「政治の中身を変える」という訴えができるのは日本共産党だけ
第三は、こうした「政治の中身を変える」という訴えができるのは、日本共産党だけだということです。この選挙を「自民か、民主か」――「政権選択」の選挙と描く論調が氾濫(はんらん)していますが、その実態はどうか。
麻生政権――自民党政治の行き詰まりへの反省も、打開策もない
麻生政権が誕生しましたが、その特徴は、ここまで深刻になった自民党政治の行き詰まりにたいする反省もなければ、打開策もないということであります。
たとえば、麻生首相は、「日本経済は、全治三年」といいます。「全治三年」かどうかは別として、たしかに経済と暮らしが「重症」であることは間違いありません。しかしそこまで経済と暮らしを「重症」にした責任は、いったいだれにあるのか。自らも閣僚の一人として推進した「構造改革」路線こそ諸悪の根源ではないか。
しかし、それへの反省はありません。反省がないから、打開策も出てきません。自民・公明両党が結んだ「連立政権合意」をみますと、後期高齢者医療制度については「より良い制度に改善していく」と、差別医療制度にあくまで固執する立場が明記されています。毎年二千二百億円の社会保障費削減路線を継続することは、当然の前提とされています。小泉内閣以来、定率減税の廃止、配偶者特別控除の廃止、高齢者の年金課税など、五兆円にのぼる庶民増税を押しつけたことへの反省のかけらもありません。さらに麻生首相は、消費税増税とともに、大企業の設備投資減税や証券取引減税を拡大し、大企業の海外での利益を無税にするなど、大企業や大資産家へのいっそうの減税のばらまきをすすめようとしています。
「連立政権合意」では、「海上自衛隊のインド洋における補給支援活動を引き続き可能とするための法改正をおこなう」と明記し、アメリカに要求されるままに、アフガニスタンでの米軍の報復戦争を支援しつづけることを確認しています。国民多数の反対の声におされて、参議院で否決されながら、衆議院での再議決によって継続に固執した間違った道に、あくまでしがみつこうというのであります。
いま多くの国民から投げかけられている、「こんな政治、こんな社会でいいのか」という問いかけにたいして、自公政権は、「政治の中身をこう変える」ということを、まったくいえません。自民党なりに「こう変える」という言葉もなくしてしまいました。ここには異常な大企業中心・アメリカいいなりという「二つの政治悪」にがんじがらめにしばられて、行き詰まりがきわまった自民党政治の末期的な姿があります。
民主党――「政権交代」をいうが「二つの政治悪」を正す立場は見えてこない
それでは民主党はどうか。民主党は、「政権交代」「官僚支配の打破」をいいますが、この党の政治姿勢からは、大企業中心・アメリカいいなりという「二つの政治悪」を正す立場は見えてきません。
日本経団連から政策要求をつきつけられ、それにしたがって「通信簿」をつけられ、献金のあっせんを受けている政党が、どうして財界・大企業の横暴勝手とたたかえるか。六月におこなわれた民主党と日本経団連との「政策を語る会」で、民主党側がのべたのは、「法人税の引き下げ」、「消費税の引き上げ」、「農産物輸入の自由化」など、財界の要求に迎合することでありました。
異常な財界中心政治のゆがみを正す立場がないという民主党の弱点は、財源問題で致命的な形であらわれています。民主党は、その政策課題実現のために二十二兆円の財源が必要だとし、「政権交代をおこなえば財源は出てくる」といいますが、大企業にもうけ相応の負担を求める立場がなければ、それは“絵に描いたもち”にすぎません。結局それは、消費税増税に財源をもとめるという立場にゆきつくことにならざるをえません。
民主党は、海外派兵問題でも、インド洋に海上自衛隊を派兵する法案には反対しますが、海外派兵の恒久法の制定などを規定した政府案以上に危険な「対案」を提出し、さらにアフガニスタンへの陸上自衛隊派兵という構想を打ち出しています。これらの事実は、日米安保条約を土台とした異常なアメリカいいなり政治という古い枠組みから、民主党が一歩も出ることができない党であることを示しています。
このように民主党も、ここまで自公政治が行き詰まっているのに、「政権交代」「官僚支配の打破」をいうだけで、それでは「政権交代」「官僚支配の打破」をして政治の中身をどう変えるのか。「政治の中身をこう変える」ということをいえない。その根本には、昨年の「大連立」騒動に示されたように、自民党と民主党との間に、国政の基本政策で違いがない、「二つの政治悪」を共有しているという事実があることを、指摘しなければなりません。
中身を変えないで、担い手だけを変えても、日本の明日は開かれない
私たちが今度の選挙で、「政治の中身を変える」というスローガンを押し出しているのは、こうした政党状況をふまえてのものであります。このスローガンは一見するとあたりまえのスローガンに見えますが、いま日本の政党のなかで、異常な大企業・アメリカいいなりという「二つの政治悪」を正し、「政治の中身を変える」ということを堂々といえるのは、日本共産党しかないのです。それは選挙戦にむけた論戦の進展に即して浮き彫りになりつつあるし、論戦がすすめばさらに鮮明になっていくでしょう。
自民党と民主党は、それぞれが、政治の中身を変える展望を示せないまま、中身ぬきに「政権選択」選挙を演じようとしています。それに対して、政治の中身を変えないままで、政権の担い手だけを代えても、日本の明日は開かれない。国民の利益にたって、政治の中身を変える日本共産党をのばしてこそ、国民が安心できる日本、希望がもてる日本をつくれるということを、堂々と語りぬいて勝利をつかもうではありませんか。(拍手)
日本共産党がのびれば政治は必ず変わる――そのことは実績で裏付けられている
第四は、日本共産党がのびれば政治は必ず変わるということを、この間、わが党が国政で果たしてきた先駆的役割、国民とともに政治を動かしてきた数多くの実績を語りながら、大いに押し出していくことであります。
「決定的な場面」で日本共産党の果たした役割を大いに語って
党創立八十六周年記念講演でものべたように、国民の暮らしや日本の前途にかかわる「決定的な場面」で、日本共産党だけが間違った政治に反対の論陣を張った数々のたたかいがありました。労働者派遣を原則自由化した一九九九年の大改悪、後期高齢者医療制度の原型を打ち出した二〇〇〇年十一月の健保法改悪のさいの「付帯決議」、日本農業を破壊する大きな契機となったWTO(世界貿易機関)農業協定の受け入れ――どれをとっても、反対をつらぬいたのは、最初は日本共産党だけでした。その時は孤立しているようにみえたが、やがてその声は、国民多数の声となり、いまでは政治を動かす力となって働いています。そうしたわが党ならではの先駆的実績は、異常な大企業中心・アメリカいいなりを正すという綱領の立場に支えられたものでした。
これらの事実も国民に広く知らせながら、つねに国民の利益を守り抜き、正義と道理にたつ日本共産党の議席をのばせば、政治は必ず変わるということを、この選挙では大いに訴えていきたいと思います。
新しい国会では、国民要求にたった提案をおこない、問題ごとに協力を追求する
総選挙後の国会を考えた場合に、わが党は、政権協力という点では、自民党はもとより、民主党ともその条件はないことは明らかであります。消費税や憲法など国政の根本問題で立場が違う、さらにいえば大企業中心・アメリカいいなりという「二つの政治悪」を共有している政党と、わが党が政権協力をする条件はありません。
同時に、強調しておきたいのは、日本共産党が前進・躍進をかちとれば、わが党は、新しい国会で、国民の要求にたった提案を積極的におこない、その実現のために、協力できる問題では、問題ごとに協力していくという立場を貫く、そうした道理に立って国政を動かす力が大きくなるということであります。
たとえば、後期高齢者医療制度の撤廃では、すでに野党共同の撤廃法案が参議院で可決されています。この問題では、衆議院でも撤廃法案を可決するための共同を大いに追求します。また、労働者派遣法の改正でも、一九九九年の原則自由化前に戻せという抜本的改正をめざして、協力できる政党とは協力を追求します。食料と農業の問題でも、これだけWTO協定にもとづく輸入自由化路線が破たんしているのですから、その抜本的見直しをもとめて、共同を探求したいと思います。
選挙後の各政党の力関係がどうなろうと、政治の中身を変える立場、そしてその力を持った日本共産党をのばすことが、国民の願いを実現する一番たしかな力になります。そのことはわが党の実績によっても裏付けられています。そして、日本共産党をのばすことは、「国民が主人公」の立場に立つ民主的政権にむけて大きな一歩を踏み出す歴史的な意義をもつものであります。日本共産党への一票は、国民の苦難を軽減する一票となり、そして民主的政権への道を開く一票となる。こうした日本共産党への一票の値打ち、議席を増やす値打ちを、大いに語りぬこうではありませんか。(拍手)
二、選挙勝利にむけた活動について
最も早い解散・総選挙を想定し、逆算でやるべきことをやりぬく
つぎに総選挙勝利にむけた活動について、報告します。
すでに開始された臨時国会において、わが党は、衆参の本会議での代表質問だけではなくて、予算委員会を開催して、国政の基本問題について徹底的な議論をおこない、争点を明らかにして審判を仰ぐことを要求しています。政治的には、この立場を最後までつらぬくことは、いうまでもありません。
同時に、解散・総選挙の時期としては、さまざまな観測が流されていますが、現時点においても不確定であり、そうした場合には、最も早い解散・総選挙――「十月十四日公示、二十六日投開票」を想定して、逆算で勝利のためにやるべきことをやりぬくという立場を、揺るがず堅持することが重要であります。こうした立場を堅持してがんばりぬけば、かりに投票日が遅れたとしても、遅れた分だけさらに活動を前進させて選挙を迎えることができます。この点で、絶対に「様子見」に陥らないことが重要だということを、まず強調しておきたいと思います。
やるべきことは明瞭――全有権者を対象とした宣伝・組織活動を前面に
2つの基準で到達点を直視し、飛躍をつくろう
早期の解散・総選挙にむけて全党の総決起を訴えた、九月三日の都道府県委員長会議の提起は、全党にきわめて積極的に受け止められています。「待ってました」、「今度こそ勝とう」という活力、機運が、全党に広がりつつあります。私たちも参加して九月十二日から開始した全国遊説も、各所で盛況であり、多数の不特定の人々も足をとめ聞き入る状況がどこでも生まれています。
同時に、私たちの活動の到達点を、冷静に直視する必要があります。それをはかる基準は二つであります。
第一は、全国で六百五十万票以上という得票目標――それにみあってそれぞれの都道府県、地区委員会、自治体・行政区、支部で決めた得票目標の実現にふさわしい規模と速度の運動になっているかどうか。
第二は、他党との関係で、宣伝戦でも組織戦でも、あらゆる活動で他党を凌駕(りょうが)する活動になっているかどうか。
この二つの基準にてらして、それぞれの到達点を直視して、何としても活動の飛躍をつくりたいと思います。
全党的に見れば、六中総決定、都道府県委員長会議を受けて、前進のうねりがはじまっていることは間違いありませんが、活動の到達点そのものは、勝利を保障する規模と速度には、遠くおよんでいないことも事実であります。これを一気に打開する大飛躍が、いま必要であります。この中央委員会を契機に、最も早い場合には公示まであと十八日、投票日までちょうど一カ月という残る期間に、前進・躍進への道を開く活動の大飛躍をつくることを心から訴えるものであります。(拍手)
全有権者を対象とした宣伝・組織活動の大飛躍を
やるべきことは明瞭(めいりょう)であります。
第一は、全有権者を対象とした宣伝・組織活動の大飛躍をつくることです。
大量政治宣伝では、ポスター、パンフレット、音の宣伝の三つで、日本列島のすみずみに日本共産党の風を吹かせましょう。
――ポスターは、党押し出しのポスター(「貧困なくし 平和な日本へ 政治の中身を変える 日本共産党」と、五種類の政策ポスター、あわせて六十万枚を一枚残らずはりきり、ポスター第一党をめざそうではありませんか。
――パンフレット『私たちはこんな新しい日本をめざしています。』が完成しました。いま各県にお届けしている最中ですが、届きしだい、支部や後援会で読み合わせをして、一気に配布をすすめようではありませんか。
――音の宣伝が、たいへんに大事です。宣伝カー、ハンドマイクをフルにつかい、プラスターも活用して、ここでも元気いっぱいの姿を示そうではありませんか。
対話・支持拡大では、九月十五日付の総選挙闘争本部の訴えがのべているように、選挙公示までに得票目標を大きく超える支持拡大を必ずやりきり、選挙戦本番ではさらに「かためつつ広げ、広げつつかためる」という見地で支持をのばしきることを、強く訴えるものです。対話・支持拡大が選挙本番にならないと本格化しないという弱点を、こんどこそ突破しようではありませんか。すすんでいる経験にも学び、つぎの四点を強調したいと思います。
一つは、対話・支持拡大をむずかしく考えないということです。パンフレットの感想を聞いたり、要求・関心を語りあうところから、みんなで気軽にはじめましょう。足を踏み出せば、必ず対話がはずみ、とりくんだ側も元気になる。このことが、全国から共通して報告されています。
二つは、総選挙では、比例代表と小選挙区と二票ありますが、まず比例代表で「日本共産党と書いてください」というところから訴えましょう。そして小選挙区の支持も訴える。比例から支持をどんどん訴えていく、こういう姿勢で対話・支持拡大の運動を飛躍させたいと思います。
三つは、「全国は一つ」ということです。比例代表は、全国のどこの一票も議席につながります。すべてのつながり、結びつきを生かして、日本共産党躍進のために、全国が心一つに奮闘しようではありませんか。
四つは、後援会員とともにということです。全国で三百五十万人をこえた後援会員に、ニュースをとどけ、総選挙の協力依頼を一人残らずおこないましょう。
得票目標を大きくこえる支持拡大を何としても公示までにやりきり、選挙本番にさらに広げきる――この方針に執念を燃やしてやり抜けるかどうか。ここに勝敗の重大な分かれ目の一つがあります。この草の根からのとりくみで、何としても大飛躍をつくることを、心から訴えるものです。(拍手)
「大運動」「集い」――記念講演ダイジェストビデオを大規模に活用して
第二は、「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」、多種多様の「集い」を、ひきつづき「支部が主役」の選挙戦の「軸」にすえて、発展、飛躍させることであります。
とくに、六中総がよびかけた、すべての自治体・行政区の「集い」・演説会のとりくみを、100%やりきることがきわめて重要です。すでにこれは約四分の三の自治体・行政区でとりくまれていますが、文字どおり100%のとりくみにし、すでにとりくんだところも可能な限り繰り返して開くようにしたいと思います。
この間の重要な特徴は、党創立記念講演のダイジェストビデオが、視聴した党員・後援会員の元気と確信をもたらし、また有権者の共感をよび、日本共産党への支持を広げるうえで大きな威力を発揮していることであります。支部主催の「集い」でダイジェストビデオを視聴したところ、全員が拍手し党への熱烈な支持を表明してくれた、入党のよびかけに応じて党に迎え入れたなどの経験が、各地に生まれています。つかめた範囲だけでも、ダイジェストビデオは、支部数の一・五倍の三万四千本が作られています。これを思い切って大規模に活用し、活動の飛躍の糧にしていただくことも訴えたいと思います。
「集い」と演説会をあわせた参加数は七十三万人を超えています。この運動を、百万を大きくこえる規模に発展させ、参加してくれた人に協力をお願いし、この総選挙を、国民とともにたたかう壮大な選挙戦にしていこうではありませんか。
選挙本番にふさわしい形態で、党勢拡大の高揚を追求する
第三は、党勢拡大の高揚のなかで総選挙をたたかうということであります。
この問題では、いよいよ選挙本番という時期にふさわしい形態の党勢拡大が大切です。すなわち、全有権者を対象にした宣伝・組織活動にとりくむなかで、そのなかに忘れずに党勢拡大の課題をきちんと位置づけ、独自に追求するということです。選挙戦というのは本来、有権者の政治的関心が高まり、党への期待も高まります。そのチャンスを生かした拡大にとりくみましょう。
同時に、新入党員の新鮮な力、新鮮なつながりを生かしたところで、選挙戦のとりくみに大きな活力が生まれていることは、たいへん重要です。新入党員への懇切な援助をおこなうとともに、大胆に新しい力を発揮してもらい、ベテランの同志と心を一つにしてたたかいたいと思います。
昨年の五中総以降の新規党員は、一万一千人をこえました。全国紙や地方紙が、新規党員の拡大に注目をよせ、それが日本共産党への新たな期待を広げるという状況も生まれています。「自民党員は減るばかりだが、対照的に共産党員は増えている」と報道した地方紙もありました。そうしたかつてない条件も生かして、党を強く大きくしながら選挙での勝利をつかもうではありませんか。
全支部、全党員が、後援会員とともに立ち上がれば、勝てない選挙はない
第四は、全支部、全党員が、後援会員とともに立ち上がり、「しんぶん赤旗」の読者の協力をえて奮闘すれば、勝てない選挙はないということです。
これまで未活動だった同志もふくめて、日本共産党員ならばだれでも「選挙に勝ちたい」という強い思いをもっているはずであります。その初心に信頼をよせ、さまざまな事情で党活動に参加できなかった事情もよく配慮し、その悩みにもよく耳を傾け、それぞれの同志の得手や条件を生かしつつ、みんなが立ち上がる選挙にしていこうではありませんか。
わが党にいま、若い同志がつぎつぎと入党してきていることは心強い限りであります。同時に、わが党が、長い間、献身的に党を支えてきたベテランの同志をたくさんもっていることは、わが党の誇りであります。
党中央役員、国政選挙候補として奮闘してきた外尾静子さんが、「しんぶん赤旗」の「学習・党活動のページ」で、つぎのように語っています。
「どの党組織にも、昔、先頭に立ってがんばっていた党員がいると思います。七十、八十代になると、とても大事にしてくれます。けれども、遠慮して、声がかからなくなっていることが、少なくないのではないでしょうか。昔がんばっていた私たちに、『何か手伝ってくれますか』と、声をかけてほしいと思います。“ベテランに、雑用をさせては”なんて思わないで、私たちに、できる仕事をさせてもらうと、喜びになります。昔からがんばってきた私たちは、今度こそ勝ちたい、このチャンスを生かしたい思いが、とても強いのだから、“老人力”を信頼してほしいと思います」。
このうれしい激励の言葉にこたえた活動を、大いにおこないたいと思います。
すべての支部、党員の総決起のためにも、すべての支部が、支部会議を開くこと、得票目標、支持拡大目標を決めること、可能なかぎりたまり場、センターなど、日常的に集まれる場所を確保することが重要であります。第二十四回党大会以来一貫して努力してきた「支部が主役」の活動を、この選挙戦のなかでこそ生かしましょう。
こうして、この歴史的政治戦に立ち上がらざる同志なしという総決起をつくりだそうではありませんか。すべての地方議員が、もてる力を総発揮して、勝利に大きく貢献しようではありませんか。みんなが立ち上がり、みんなの力で勝利をつかみとろうではありませんか。(拍手)
5中総決定にもとづく新しい選挙方針を必ず成功させる
この総選挙は、五中総決定が打ち出した新しい選挙方針を実践する最初のたたかいとなります。小選挙区候補を擁立した選挙区は現在のところ百四十三選挙区となっています。私が強調したいのは、小選挙区に擁立したところも、擁立しないところも、比例代表選挙で六百五十万票以上を実現する活動に、ともに力をあわせてとりくもうということであります。
小選挙区に候補者を擁立したところでは、比例候補者と力をあわせて、そのメリットを最大限に生かしたたたかいを展開します。小選挙区候補者は、比例代表での前進・躍進のために大いに奮闘するとともに、立候補する以上は自らの勝利をめざして奮闘し、たとえ結果として一回の選挙では届かなくても、二度、三度の選挙ごとに得票をのばし、やがて議席をあらそえる力をつけることを目標に、大志をもって奮闘しようではありませんか(拍手)。なお京都1区については、京都市南区の定数一を争う市議補選での勝利をふまえて、今回の選挙で必ず議席獲得をはかる選挙区――必勝区としました。地元党組織の奮闘とともに、全国の支援も訴えるものです。(拍手)
小選挙区に候補者を擁立しない選挙区では、候補者を擁立しないことからくるデメリットを直視しつつ、比例代表に思い切って力を集中できるメリットをフルに生かしたとりくみを展開しましょう。全国各地で、財政的に供託金の心配なく活動できると、早くから臨時電話を設置するなど、財政の力を他のところにふりむける積極的なとりくみが広がっています。候補者を立てないので地方議員の力が決定的と、「比例候補者になりかわって」と、地方議員が街頭演説の先頭に立つなどのとりくみもすすんでいます。機関の体制が維持できるので、その分、「支部が主役」の選挙戦を強める援助が行き届くという経験も生まれています。擁立しない選挙区では、デメリットもありますが、擁立をしないことから生まれるこうしたメリットを最大限に生かして、比例での得票目標の達成のために執念を燃やす、比例一本に力を集中することで大飛躍をつくるという構えでの奮闘が大切であります。そして次の機会には、候補者を擁立できる力をつけることをめざすという、ここでも大志をもったたたかいを展開しようではありませんか。(拍手)
全党の知恵と力を結集し、新たな創意と探究をはかり、五中総決定が打ち出した新しい選挙方針を必ず成功させようではありませんか。(拍手)
三、第25回党大会の延期の提案
次に第二十五回党大会の延期について提案します。
第二十五回党大会の招集については、現在の情勢のもとでは、来年一月に党大会を招集する条件がなくなったことは明らかであります。
したがって、党規約第十九条――「特別な事情のもとでは、中央委員会の決定によって、党大会の招集を延期することができる」――にもとづき、第二十五回党大会を延期することを提案します。次期党大会の時期については、衆議院選挙後に開催する中央委員会総会で判断することにします。
四、「国民が主人公」の民主的な政権をつくる第一歩の選挙に
報告の最後に、この歴史的な衆議院選挙にのぞむ基本姿勢として、全党のみなさんに、二つのことを呼びかけたいと思います。
がんばりいかんでは、前進・躍進が可能なチャンスの選挙
第一は、きたるべき総選挙は、私たちのがんばりいかんでは、党が前進・躍進する好機――チャンスの選挙であるということです。全党が、奮い立ってこのチャンスを現実の勝利に必ず結びつける攻勢的なたたかいを展開することを、まず心から呼びかけるものであります。
昨年の参議院選挙の悔しい結果から、私たちは、五中総決定で、二つの大きな教訓を引き出しました。それは、第一に、政治論戦では、日常的に、党の綱領、日本改革の方針を語ることが重要であることです。第二に、選挙戦のとりくみでは、持てる力を総発揮できる党をつくること、どんな情勢のもとでも前進できる実力をつけることが必要であるということです。
この教訓を生かして、私たちは「大運動」という党綱領を日常的に語る党史上かつてない運動にとりくんできました。党勢拡大でも、党の質的強化でも、上げ潮・前進の流れをつくりだしてきました。情勢と綱領との響きあいという状況は、全党のこの一年間の努力によってつくりだしたものだということに、深い確信をもとうではありませんか。そしてこの一年間の努力で得たすべてのものを、選挙勝利に結実させようではありませんか。
勝敗は残る一カ月のたたかいにかかっています。「自民か、民主か」という「政権選択」を迫るキャンペーンが、これまでのどの選挙よりも激しくなることは明らかであり、もとよりその厳しさはいささかなりとも軽視することは許されません。どんな風が吹こうと、自らの力で風を起こして、勝利をつかみとる気概と活動があってこそ前進・躍進は現実のものとなることを、お互いに銘記して奮闘しぬこうではありませんか。(拍手)
綱領路線実現の第一歩の選挙――不屈の日本共産党員魂を発揮して
第二は、この総選挙を、「国民が主人公」の立場にたつ民主的な政権への大きな一歩を踏み出す選挙にしていこうではないかということであります。
日本の情勢は、客観的には、異常な大企業中心・アメリカいいなりという「二つの政治悪」を特徴とする自民党政治がいよいよ行き詰まり、それに代わる「国民が主人公」の民主的な政権――民主連合政府を打ち立てることが、切実に求められる新しい大きな歴史的な時代、激動的な時代に入っています。
きたるべき総選挙は、そうした新しい大きな歴史的時代における最初の一大政治戦です。民主党がいっているように、「最後の決戦」ではないのです(笑い)。新しい大きな歴史的時代を開く最初の一大政治戦が、今度の総選挙なのであります。この選挙で日本共産党が前進・躍進をかちとることは、直面する国民の苦難を軽減するうえでわが党に課せられた重大な責務であるというだけにとどまらず、二十一世紀の早い時期に「国民が主人公」の民主的政権を打ち立てる大きな一歩を踏み出すものとなります。それは、自民党政治に代わる新しい政治を国民が探究する政治プロセスを大きく前進させるものとなるでしょう。
全党のみなさんが、きたるべき総選挙の歴史的意義を、綱領路線の実現の第一歩という立場からとらえて、不屈の日本共産党員魂を発揮し、悔いなくたたかいぬくことを強く訴えて、報告といたします。ともにがんばりましょう。(拍手)