2008年9月27日(土)「しんぶん赤旗」

主張

麻生首相国連演説

対米追随の誓約が初仕事とは


 麻生太郎首相が、国会での所信表明演説に先立って、国連総会で初の一般討論演説を行いました。

 国際金融、地球温暖化、国連安保理改革などさまざまな問題をとりあげましたが、対テロ戦争支援や「日米同盟を不変の基軸」としたことが示すように、演説の核心がアメリカいいなり姿勢を鮮明にすることにあったのは明らかです。麻生首相では日本外交の行き詰まりを打開することは困難です。

戦争支援強化の誇示

 麻生首相は、「テロとのたたかいに積極的に参画してまいる」とのべ、インド洋における自衛隊の米艦船などへの給油活動を続ける意思を誇示しました。アメリカの政府と軍部が圧力をかけている、新テロ特措法の延長法案を成立させる決意を示したものです。

 テロの根絶は国際的課題です。しかし、七年間にわたる戦争は「戦争でテロはなくせない」ことを証明しています。米軍などが無差別掃討作戦で多くのアフガニスタン人を殺していることが住民の憎悪をつよめ、テロと武力攻撃の悪循環をおこしています。国連加盟国の圧倒的多数が、アフガニスタン問題の平和的・外交的解決を求めているのは当然です。

 いま日本にとって重要なことは、戦闘を一刻も早くやめさせ、和平の努力をつくすことです。日本が憲法をふみにじって続けてきた自衛隊の海外派兵などアメリカへの戦争支援は、現地の人々の日本への反発を強めさせるだけで、アフガニスタンやイラクの平和に役立っていません。平和的・外交的解決への転換が求められています。

 麻生首相が「日米同盟を不変の基軸」にすると発言したのは重大です。日米同盟とは日米安保条約のことです。軍事同盟は戦争を禁止した国連憲章の精神と両立しません。国連総会で、軍事同盟を「不変」だといったのは、アメリカへの忠誠心をあらわにしたものです。

 日米安保条約=日米軍事同盟のもとで、日本は米先制攻撃戦略の拠点にされ、自衛隊は米国の無法な戦争への動員を恒常的な任務にさえしています。麻生首相が国連演説後に、集団的自衛権の行使を禁止した政府の憲法解釈を「基本的に変えるべきもの」といったのも安保条約のためです。「日米同盟を不変の基軸」だと強弁する麻生首相には、世界の平和や自主的な外交を語る資格はありません。

 首相が「基本的価値を同じくする諸国と連帯」するとのべたことも重大です。国連はイスラム諸国をはじめ社会制度の異なる諸国が多く加盟しています。その国連総会で、価値観が違う国とは連帯しないというのは異常です。麻生首相の立場では、世界の国とわけへだてなく対話することも共存することもできないことになります。

大もとから変えてこそ

 アジアでは、紛争を平和的に解決することを大原則にする東南アジア友好協力条約(TAC)に二十五カ国、地球人口の六割が参加するなど、世界は国連憲章にもとづく平和秩序をめざす流れになっています。潘基文(パンギムン)国連事務総長も「他国との協調なくして自国民の福祉も前進させることはできない」とのべています。

 何事も軍事力で解決しようとするアメリカいいなりの政治を大もとから変え、自主・自立の平和外交を切り開いていくことがいよいよ重要な課題になっています。


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