2008年9月26日(金)「しんぶん赤旗」

地域の平和と安定へ

3国外相きょう初会談

トルコ、アルメニア、アゼルバイジャン


 国連総会開催中のニューヨークで二十六日、トルコ、アルメニア、アゼルバイジャンの三国外相が初めて会談します。ともに南カフカスに位置する三国ですが、複雑な歴史問題や民族紛争を抱えてアルメニアは他の二国とは外交関係が確立していませんでした。ロシア・グルジア紛争が地域を不安定化させる下で、三国接近の動きは外交で和解を促進し地域の平和と安定をめざそうとする動きとして注目されます。(宮崎清明)


 トルコとアルメニアの間にある大きな歴史問題は、第一次世界大戦中の一九一五年のアルメニア人虐殺事件をめぐる対立。変化が表われたのは、トルコのギュル大統領が九月六日、国家元首として初めてアルメニアを訪問しサルキシャン大統領と会談、歴史問題の解決を話し合ったことでした。

 次いでギュル大統領は十日、アゼルバイジャンを訪問。同国内でアルメニア人が多数を占めるナゴルノカラバフ紛争の解決を探って、アリエフ大統領と協議しました。

 三国はいずれもグルジアと国境を接しており、地域不安定化は経済にも深刻な影響を及ぼします。カスピ海に面した産油国アゼルバイジャンの首都バクーから陸路グルジアの首都トビリシ、トルコを経由して地中海沿岸を結ぶ石油パイプラインがあります。内陸国アルメニアの物流は大半がグルジアからです。

 トルコのババジャン外相は二十二日、「最近のグルジア危機は、われわれにこれまでの政策の見直しを緊急に迫っている」とのべています。

 同氏はまた国際英字紙インタナーショナル・ヘラルド・トリビューン二十四日付への寄稿文でロシアとグルジアの戦争という事態を受けて「カフカス地方での長期的な平和と安定の再創出」を提起。「諸国家の独立、主権、領土保全、対話による紛争の平和解決という国際法の諸原則」にもとづく信頼醸成を呼び掛けています。


 アルメニア人虐殺事件とナゴルノカラバフ問題 第一次世界大戦中の一九一五年にロシア国境地帯に住む百万人とも百五十万人ともいわれるアルメニア人が、トルコ側に虐殺されたりシリアの砂漠地帯に追放されたとされる事件。トルコ側は、「戦乱で死者が出た以上の事件ではない」との立場で、大虐殺を認めていません。

 アゼルバイジャン領内のナゴルノカラバフ自治州ではアルメニア人が多数を占め、一九九一年の旧ソ連崩壊前後にアルメニアへの編入を求める運動が起こり、両国間の紛争に発展しました。

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