2008年9月25日(木)「しんぶん赤旗」

後期医療制度「見直し」

舛添厚労相「案」

大幅に後退

与党内から「無理だ」


 先週末、舛添要一厚生労働相が突然公表し、麻生太郎自民党新総裁も賛同したという、後期高齢者医療制度の「抜本見直し」案が、尻すぼみ状態になっています。

 舛添氏が十九日夜、公表した「見直し」案では、七十五歳という「年齢区分の廃止」なども提示。「制度の廃止へ」などと報じる一部新聞もありました。

 ところが、支持者に制度存続を正当化する説明をしてきた公明党からは、「聞いていない」(山口那津男政調会長)などと不快感が示されたり、厚労相経験者からは「『抜本的に』などとするのは無理だ」と異論が噴出しました。麻生氏も総裁に就任するや、「制度自体は悪くない。時間をかけて説明した方がいい」とトーンダウン(二十二日)。二十三日に自民、公明両党がまとめた政権合意では「より良い制度に改善」という表現に大幅に後退しました。

 そもそも舛添氏がどの程度の「抜本見直し」を想定していたかが不透明です。厚労省の担当室は二十二日、年齢区分の見直しについて、「七十五歳以上の人で企業に働く場合、健康保険組合に継続して加入することを容認する」案などを例示しました。これでは、現在の制度の加入者千三百万人のうちの三十五万人が対象になるだけで、とても「抜本見直し」とはいえません。

 制度見直しをめぐる麻生氏らの二転三転する発言から、自民、公明の与党では、国民の願う制度の廃止ができないことがはっきりしました。制度の廃止に向けて一貫してがんばってきた日本共産党を総選挙で伸ばし、矛盾と欠陥があらわになった制度の撤廃へ決着をつけるときです。(宮沢毅)



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