2008年9月24日(水)「しんぶん赤旗」
主張
原子力空母の配備
“殴り込み”の拠点化許せぬ
米原子力空母ジョージ・ワシントンが横須賀基地(神奈川県)を母港にするため、横須賀市民をはじめとした配備反対の叫びを踏みにじって、二十五日横須賀基地に入港します。
米空母の配備を許しているのは世界でも日本だけで、これ自体異常です。そのうえ今度配備される空母は原子炉を二基積んでいる原子力空母であり、核事故の危険も特別です。きょう午後、横須賀市内で開かれる「原子力空母配備抗議9・24集会」を成功させ、国民の怒りの声を日米両政府につきつけることが重要です。
国民の安全は度外視
ジョージ・ワシントンは配備ののち、一年の半分は横須賀基地に停泊します。それだけ核事故の危険は大きくなります。それは、横須賀市民四十二万人をはじめとした首都圏三千万人の人々に核事故の恐怖を押し付けることでしかありません。アメリカの無法な要求を受け入れた自公政権の態度を許すわけにはいきません。
原子力軍艦が「安全」だというアメリカの言い分をうのみにすることほど危険なものはありません。原潜も原子力空母も核事故をくりかえしています。
空母エンタープライズは放射能を含んだ冷却水漏れや原子炉火災による放射能漏れを起こしました。空母ステニスも冷却水取水口の目詰まりで原子炉が緊急停止しました。原潜を含め原子力軍艦の核事故は枚挙にいとまがありません。核事故がなかったとうそをいって原子力空母を押し付けるのはまともな国のやることではありません。
しかもアメリカは一九六三年の原潜寄港をめぐる日米交渉いらい、「機密」を理由に核事故のデータさえ提供しません。原潜ヒューストン放射能漏れ事故の原因が解明されていないのもこうした日米交渉の結果です。日本政府は国内の原発に対して行っている検査さえ原子力空母にはできません。日本に国民の安全を保障する手だてがないのは重大です。
原子力空母の配備が、横須賀基地の“殴り込み”機能を飛躍的に強化することも重大です。シーファー駐日米国大使は、原子力空母が重油を燃料にする通常型空母よりも「航空燃料や武器の貯蔵量が増え、速度も早く二倍の戦闘活動時間を維持できる」とのべています(二〇〇五年十二月)。攻撃能力が強まることは、危険を大きくするだけです。
ジョージ・ワシントンの艦載機は、アフガニスタンやイラクで無差別攻撃を行い、罪のない人々を数多く殺りくしてきました。
横須賀を「血塗られた空母」の根拠地にさせ、日本と世界の平和と安全を脅かす元凶にさせ続けることはできません。原子力空母の配備を撤回させるたたかいがいよいよ重要です。
安保廃棄のたたかいを
原子力空母の配備をはじめとした米軍基地の再編・強化を国民に押し付ける大本は、日米安保条約=日米軍事同盟です。インド洋やイラクに自衛隊を派兵しアメリカの戦争を支援しているのも、国民生活を犠牲にして五兆円近い軍事費を維持しているのも安保条約があるからです。
日米安保を廃棄し、平和と安全を守り、アメリカいいなり政治をただすことが不可欠です。
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