2008年9月22日(月)「しんぶん赤旗」

助成金制度の変更もりこむ

来年度文化庁予算概算要求で明らかに

舞台芸術と映画「一元的」に支援

　文化庁の来年度概算要求の内容が明らかになりました。概算要求額は、千百八十二億六千万円で、今年度予算比で百六十五億五百万円増となっています。増額要求では「日本文化の戦略的発信」という柱が新たに設けられ、九十一億九千三百万円増が要望されていますが、実際には「メディア芸術振興総合プログラム」など、他の柱にあった既存の事業が移動したものも多く、また、「国立新美術館土地購入費」（十億円増）、「東京国立博物館東洋館耐震補強改修等工事等」（四十七億四千万円新規）などの施設整備費の増額が目立っています。

　他方、独立行政法人で統廃合が決まった国立国語研究所の運営費交付金が半減、日本芸術文化振興会の運営費交付金も三千八百万円減となっています。

　今回の概算要求で目立つのは、芸術・文化活動への助成制度の変更がもりこまれていることです。創造活動への重点支援（いわゆるアーツプラン）が、「芸術創造活動特別推進事業」という新規事業に組み替えられ、日本芸術文化振興会の助成事業と「一元的」に支援を行うことになっています。この「一元化」によって、舞台芸術と映画への、文化庁と振興会による助成の枠組みが変更となります。文化庁の説明によれば、変更は次のように計画されています。

　舞台芸術については、(1)重点支援は振興会が文化庁から補助金をうけ実施する(2)従来の芸術文化振興基金の助成は普及活動への助成とする(3)振興会が行っていた舞台芸術振興事業は廃止する、となっています。

　映画については、(1)従来は芸術文化振興基金が行っていた映画製作助成をなくし、振興会が文化庁から補助金を受けるものに一本化する(2)芸術文化振興基金の助成は日本映画の上映活動への助成とし、そこに文化庁が行っていた上映支援などを一本化する、となっています。

　「芸術創造活動特別推進事業」の概算要求額は、五十六億四千二百万円で、内訳は舞台芸術四十六億三百万円、映画製作九億九千万円となっています。今年度予算から映画は三億七千百万円増、舞台芸術は微減となっています。文化庁と振興会の両者を合わせた助成額では、今年度の七十四億九千四百万円から七十四億六千三百万円の微減になると試算されています。但し、概算要求段階のものであり、さらに削減される可能性があります。

　助成の採択や内容は、今後決定されますが、文化庁は、現在の公演ごとの事業助成といった方式は変えないとしています。

助成増やさずの閣議決定を受け

　今回の変更は、昨年末に自民・公明政権が閣議決定した「独立行政法人整理合理化計画」で、日本芸術文化振興会の事業を、文化庁の事業と「統合・一元化」すると決定したことを受けたものです。「計画」は「その際、全体の助成規模が拡大しないものとし、また、文化庁の助成事業担当職員を削減する」ことをあわせて明記していました。これは、自民・公明政権のもとで、現状でもヨーロッパ諸国に比べ貧困な助成をさらに抑制しようとするものです。