2008年9月21日(日)「しんぶん赤旗」

組合員の担任・部活顧問外し

第二職員室に“隔離”

子ども巻き込む異常運営

東京・私立鶴川高校


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(写真)ロッカーで半分にされた鶴川高校の「第二職員室」=今年3月撮影、鶴川高校教職員組合提供

 東京都町田市にある私立鶴川高等学校で、異常な学校運営がおこなわれています。組合員の教員を担任や部活動の顧問から外し部活動を大幅に減らす。一般教員が放課後に生徒と接触することを禁じる―。職員会議もPTA総会も開かれず、生徒の教育にも深刻な影響を及ぼしています。

 同校は学校法人明泉学園を設置者として一九六一年に設立され、今年度の生徒数約七百七十人の女子校です。

 鶴川高校教職員組合などによると、二〇〇五年に同学園の理事長である百瀬和男氏が校長に就任。かつてからあった組合員の担任外し、顧問外しがエスカレートしました。

 〇六年度にはほとんどの組合員が部活の顧問から外され、部の統廃合が一方的におこなわれました。練習を積んできた演劇部も事実上の廃部となり、「せめても」と廊下で上演しましたが、それも中止させられました。運動部は対外試合が制限されました。

 かつては三十一あった部活が今年度は十八になり、すべての部の顧問をわずか三人の教員が兼任しています。

 同校を六年前に卒業した女性は、所属していた部がなくなり「本当にショックです。いま学校にいる子たちがかわいそう。在校生が楽しく過ごせて、卒業生が誇りを持てる学校になってほしい」と訴えます。

 昨年十一月には管理職以外の一般教員が授業時間外に生徒と接触することを原則禁止する規則までつくられ、生徒に学力を保障しようと教師たちがおこなってきた放課後の補習も事実上できなくなりました。

 鶴川高校教職員組合やほかの組合の組合員は、多くが担任を外されています。第一職員室からかなり離れた別校舎の、しかも生徒が出入りしない階に第二職員室を設け、組合員を“隔離”。今年三月からはこの第二職員室をロッカーで区切り、半分の面積にしてしまいました。

 元保護者の男性は「生徒まで巻き込んでいる。教育機関としてこんなことは許されない」と語ります。

 〇六年四月には保護者有志が部活の制限や顧問の交代の理由をただす要望書を出しましたが、理由の説明はありませんでした。昨年三月には生徒、保護者、卒業生、教師が都の私学部を訪れ、改善を求めました。

 学園側が行ってきた定期昇給の停止や調整手当のカットなどの賃金削減については今年一月に東京高裁が未払い賃金の支払いを命じる判決を出し、確定しました。

 鶴川高校教職員組合の松山恵美委員長は「部活の廃止は生徒の居場所を奪うもの。職員朝会もなくなり、学校運営がどう進められているのかを個々の教員が把握することもできなくなっています。生徒が安心して充実した学校生活を送れる学校をめざしてがんばりたい」と語っています。

 百瀬校長は「取材には応じられない」としています。


都労委が救済命令

 鶴川高校教職員組合は担任・顧問外しなどを不当として一九九八年に東京都労働委員会に提訴。都労委は昨年十月、学園に対し、誠実に団体交渉に応じること、組合員を担任や顧問から外すことで組合の運営に介入してはいけないことなどを内容とする命令を出しました。学園側は中央労働委員会に再審査を申し立てました。

 激励先=東京私教連03(3230)4091


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