2008年9月17日(水)「しんぶん赤旗」
労働者派遣法改悪 決定的場面で各党は?
〈問い〉 年収200万円未満の非正規労働者が1千万人を超える! その引き金となった労働者派遣法の国会審議の大事な場面で、各党はどういう態度だったのですか?(東京・一読者)
〈答え〉 日雇い派遣のような非人間的な労働が広がったのは、1999年の労働者派遣法の改悪がきっかけです。このとき他党がみな賛成するなかで、日本共産党は、今日の深刻な事態を予測して反対の論戦を展開しました。
労働者を企業に貸し出して利益をえる「人貸し業」は、戦後、職業安定法で禁じられました。その例外として85年に労働者派遣法ができましたが、対象業務を限定していました。99年の改悪は、これを「原則自由化」するという内容でした。
日本共産党は、これが通れば、正社員の派遣への切り替えが大規模にすすみ、いつでも解雇できる不安定雇用労働者の大群を生み出すことになるとして、国会議員団が抜本的な改正案を提案しました。
参議院で反対討論にたった市田忠義議員は、反対理由として「派遣の対象業務の拡大は大量の低賃金、無権利の労働者をつくりださざるをえない」「常用労働者の派遣労働者への置きかえが加速する」「派遣労働者の保護にかかわる規定が不十分である」「請負という名で大規模に派遣労働者化がすすめられている実態について有効な措置を講じていない」という4点をあげました。
対照的なのが他党です。自民、民主、公明など各党を代表して公明党の山本保議員が「労働者に多様な選択肢を確保し、就業機会の拡大を図るため」に「時宜を得た内容と考える」と賛成討論しました。いまではまったく通用しない主張です。
法案は多数で押し切られましたが、日本共産党は、その後も「偽装請負」や日雇い派遣など人間使い捨てに泣き寝入りせずに立ち上がった労働者を励まし、ともにたたかってきました。
昨年12月に、労働者派遣法を「『派遣労働者保護法』に抜本的に改める」という要求を出し、ことし4月、法改正案を発表し、各政党、関係団体に共同して改正にとりくむことを呼びかけました。いま99年の法改悪に賛成した政党がそろって、派遣法の見直し、改正を主張するように変わりました。
志位和夫委員長の2月の国会質問に福田首相は、日雇い派遣は「好ましいものではない」といい、正社員から派遣への置きかえをすすめているキヤノンについて「厚生労働省に確認をさせたい」と答えました。その後、キヤノンは「製造派遣は解消する」と表明しました。日本共産党が政府と大企業を動かしています。(弘)
〔2008・9・17(水)〕