2008年9月15日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPRESS

“一生もの”見つけた

ハンセン病問題

青年たちが交流会

群馬・草津栗生楽泉園


 群馬県草津町の国立療養所栗生楽泉園(くりゅうらくせんえん)で6、7の両日「ハンセン病を知りたい青年交流会」が開かれました(主催=ハンセン病市民学会・青年学生部会)。元患者の人たちとの交流などを通して、何を感じたのか―。参加した若者に聞きました。(柴田善太)


地図

 海抜1、100メートルの高原にある栗生楽泉園に入るとシーンとした中に「めだかの学校」のピアノ演奏が聞こえてきました。約73万平方メートルの園内には病棟のほかに宗教施設、ゲートボール場、郵便局もあります。ここで168人のハンセン病元患者が生活しています。

 道の脇にあるスピーカーから「納骨堂前です」の声が流れました。目の見えない入所者のためのアナウンスです。

 交流会には27人が参加、インターネットで情報を知り参加した2人づれもいました。6日に講演と夕食交流会、7日に園内フィールドワークが行われました。

 園に隣接する特別病室「重監房」の跡――。

 「1947年に廃止されるまでの9年間、ここで22人が凍死、衰弱、自殺で亡くなりました」。入所者自治会長の藤田三四郎さん(82)の説明に、みんな静かに耳を傾けていました。

 真冬は気温マイナス16度、かけ布団は1枚、食事は一日にぎり飯2個だけ、反抗したりすると収容されました。“自分たちの体験した苦難を繰り返させたくない”――藤田さんのそんな思いが伝わる力強さです。

 あと10年、20年、いつかは元患者はいなくなります。

 「そうなってもハンセン病問題に取り組みますか」。実行委員の知華子さん(25)に聞いてみました。

 知華子さんは少し首をかしげたあといいました。

 「ハンセン病問題が忘れられたら、新しい病気やほかの問題で新しい差別が起こってくることになるかもしれません。私はかかわり続けます。ハンセン病問題は『一生もの』です」

つらくても生きる勇気

ゆか子さん(22) 学生

 中学3年生の時に、兄ががんになりました。お兄ちゃん子だったのですごいショックで、高校受験でつらいこともあり死のうとしたこともありました。そんな時、楽泉園の入所者の丸山多嘉男さんの話を聞きました。あんなつらい思いをしても生きている人がいるのに、自分は生きられるのに死のうとしている。楽泉園に丸山さんを訪ねました。今は元気です。

ぴったりとリンクした

香織さん(25) 会社員

 最初は学習塾に就職しました。営利的なものじゃなくて、福祉をしたい気持ちもあったけどやっていけるか自信がありませんでした。学習障害の子どもが塾に入ってきたんですけど先生の側が邪魔者扱いするんです。これって差別かなと思っていた時、ハンセン病の話を聞いて、ぴたっとリンクしました。それから元患者の人と交流しました。今は転職して特別養護老人ホームで働いています。

勉強してこそ共感わく

千絵さん(20) 学生

 家の近くに被差別部落があったことも影響して大学で社会学を勉強しだしました。先生の紹介で去年の8月、ハンセン病の学習会に参加しました。その後の飲み会で、熊本の温泉でのハンセン病元患者宿泊拒否事件(2003年)が話題になって元患者の人がすごく悔しがっていました。でもその事件を知らなくてうまく共感できなかった。勉強しなくちゃと思い元患者への聞き取りもはじめています。


 ハンセン病問題 ハンセン病は、らい菌による感染症。発症は極めてまれで1943年に抗生剤も開発され「治る病気」になりました。しかし政府は1907年以降の強制隔離政策を改めず、戦後も断種、強制作業など生活全般での人権侵害を続けました。元患者らの運動で2001年「隔離は違憲」の判決が確定。今年6月には全面解決をめざすハンセン病問題基本法が成立しました。国立療養所は全国13カ所にあり08年5月現在2717人が入所、平均年齢は79・5歳。


お悩みHunter

同僚とうまく付き合うには

  同僚の中に好感の持てない人がいます。偽善的で無責任なところが気になり、「嫌い」という気持ちが態度にあらわれてしまうのか、すぐに衝突してしまいます。仕事上その人とかかわることが多く、どうしたらもっとうまく付き合えるでしょうか。(29歳 女性 東京都)

思いつめず距離をおいてみて

  人間関係のトラブルがストレスを生む一番の原因とも考えられ、本当につらいですよね。解決方法は人それぞれ、いく通りも考えられます。あなたにもっとも合う方法で、早期解決されることを願います。あまり思い詰めず、相手とうまく付き合えないことを楽しむくらいの気持ちで対応されるとよいかと思います。

 解決方法をいくつかあげます。まず、いますぐ簡単にできるのは、できるだけ相手と距離をおき、仕事上どうしてもかかわらなくてはならない時は、自分の感情を封印し、至って事務的に淡々とことを進める。

 次に、同僚や上司に自分の気持ちを話し、仕事上相手とかかわることを最小限におさえてもらう。それが不可能なら、相手に偽善的で無責任なところが気になり、「嫌い」というあなたの気持ちをそのまんま態度にあらわし、とことん衝突し合う。そうなれば、同僚や上司、後輩が間に入ってくれ、みんなで解決できるかもしれません。

 それも難しければ、自分とは真逆で相手の偽善的で無責任なところが大好きな人間を演じ、それを楽しむ。そうしているうちに本当に相手を好きになるかもしれません。

 最終的に、相手とランチしたり、飲みに行ったり、とことん腹割って付き合い、お互いのいいところ悪いところすべてさらけ出し、指摘し合い、認め合う関係を築けるのが、人間としての理想なのでしょうね。


舞台女優 有馬 理恵さん

 「肝っ玉お母とその子供達」など多くの作品に出演。水上勉作「釈迦内柩唄」はライフワーク。日本平和委員会理事。


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