2008年9月13日(土)「しんぶん赤旗」

主張

自民党総裁選

政権担当つづける資格がない


 自民党の総裁選挙が始まり、テレビをはじめマスメディアが大々的に報道しています。

 総裁選に立候補した五人の候補は、小泉純一郎内閣でそろって閣僚を務め、その後も政権の中枢にいました。小泉内閣が進めた大企業のもうけを増やすだけの「構造改革」路線は、国民の貧困と格差を拡大し日本経済そのものを悪化させて、国民との矛盾を深刻にしました。安倍晋三、福田康夫の二代続きの首相の政権投げ出しで問われているのは、この行き詰まった政治を転換するかどうかです。

破たんした路線を続ける

 総裁選に立候補した五人の政策や発言を見ても、「小泉構造改革は成功した改革と評価している」(与謝野馨氏)などと小泉「改革」への反省はなく、「急激な痛みには痛み止めもいる」(麻生太郎氏)とか「格差問題には取り組まないといけない」(与謝野氏)というだけです。「構造改革」路線を転換するとは一言もいわず、「改革を避けては世界から取り残される」(小池百合子氏)と開き直るか、「あたたかい改革」(与謝野氏)、「心のかよう改革続行」(石原伸晃氏)などと、世論の批判をはぐらかす態度です。

 国民は昨年の参院選挙で「構造改革」路線を拒否し、自公を惨敗に追い込みました。ところが破たんした「構造改革」路線を転換できず、しがみつくだけでついに行き詰まったのが福田内閣です。破たんした「構造改革」路線を転換する意思も能力も持たない後継候補たちでは、福田政権同様、たちまち行き詰まり、立ち往生してしまうのは目に見えています。

 麻生氏は、「積極財政」ぶりをしきりに宣伝しますが、大企業のもうけ本位の政策を転換しない以上、当面は特別会計の剰余金などを財源にするといっても、そのツケは消費税の増税で穴埋めすることになります。麻生氏はかつて、「財政再建」を強調する与謝野氏と共同で、消費税の税率を10%に引き上げると提言しました。消費税増税の必要性では五人とも歩調を合わせており、大企業のもうけしか考えない「構造改革」路線の破たんを、国民への負担押し付けで埋め合わせる点では同じです。

 外交路線では、五人の候補がそろってインド洋で海上自衛隊がアメリカなどの艦船に給油する法律の延長を主張しました。しかし、テロへの「報復」として軍事力を行使し、戦争で片を付けようというアメリカのやり方はいよいよ破たんを深めています。日本の給油活動はアメリカの無法な戦争を支援することにしかなりません。給油活動を延長する法案の成立が国民の反対で容易でないことも福田首相を行き詰まらせる要因になりましたが、アメリカの要求に応えることしか考えないやり方では、後継候補にも未来はありません。

政治の中身を変えてこそ

 自公政権の二人の首相が連続して政権を投げ出しながら、その後継候補を選ぶ総裁選で五人の候補がだれも行き詰まりを打開する見通しを示せないのは、この政党が政権を担当する力を失っていることを浮き彫りにしています。

 また、国民が参加できるわけでもない政党内部の争いで、しかも国民が求める政治の転換にはなんら応えない自民党総裁選をさも重大事のように取り上げるマスメディアの報道は、文字通り不見識のきわみというほかありません。


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