2008年9月10日(水)「しんぶん赤旗」
貿易のドル決済廃止
ブラジルとアルゼンチン
【メキシコ市=島田峰隆】ブラジルのルラ大統領と同国を訪問中のアルゼンチンのフェルナンデス大統領は八日、ブラジリアで会談し、両国の貿易決済を今後は米ドルではなく両国の通貨で行う制度へ移行する協定を正式に結びました。
米国依存から脱却し、南米諸国の金融面での統合と将来的な共通通貨の導入を目指す動きです。両大統領は、南部共同市場(メルコスル)加盟国にも同制度を広げる方向を確認しました。
新制度による決済は今年十月三日から開始し、同日にはブエノスアイレスで式典を開く予定です。両国の今年の貿易額は約三百億ドルに上る見込みです。
会談には両国の中央銀行総裁が同席しました。ブラジル中央銀行は声明を発表し、「ドル決済をやめることで為替変動にさらされることがなくなる」と強調しました。貿易に携わる中小企業にとってとりわけ有益だといいます。
ルラ大統領は「南米地域の通貨統合への最初の一歩だ」と指摘。メルコスル諸国の金融面での結束を強めて世界で発言力を高める考えを表明しました。
フェルナンデス大統領も、協定は「戦略的視点を持ったもの」と歓迎しました。