2008年9月9日(火)「しんぶん赤旗」
アフガン空爆
民間人死者、前年の3倍 07年
“タリバン利する”
米人権団体報告
【ワシントン=鎌塚由美】人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」(本部ニューヨーク)は八日、アフガニスタンで米軍主導の空爆により民間人殺害が急増しているとの報告を発表しました。
それによると、米軍および北大西洋条約機構(NATO)軍による空爆で殺害された民間人は二〇〇六年に百十六人でしたが、〇七年に三百二十一人となり、「三倍近く」急増しました。今年は八月までに少なくとも百十九人が殺害されました。
報告は「地上部隊の不足から空爆作戦が埋め合わせ」として使われていると指摘。抵抗勢力から攻撃を受けた地上部隊への応援として空爆が行われ、民間人殺害をもたらしているといいます。
報告は、空爆が住宅など「民間不動産に深刻な破壊」をもたらし、人々が住めなくなった村を離れ、国内避難民の数を増加させていると指摘しています。
報告は、空爆による民間人殺害の事実を認めようとしない米国政府の姿勢を批判。「米国高官はしばしば民間人殺害の責任を即座に否定、またはすべてをタリバンのせいにする」と指摘し、「一方的で透明性を欠く」調査が「住民やアフガン政府との関係を損なっている」と述べています。報告は米軍やNATO軍に対し、民間人への空爆事件で「直ちに透明性のある調査を始め結果を公表する」よう提言しました。
HRWのアジア部長、ブラッド・アダムズ氏は、アフガンで「民間人が依然として究極の犠牲を払っている」と述べ、空爆による民間人殺害が「タリバンによる新兵採用の助けとなり、アフガンの人々に基本的な安全を保障しようとする国際的な努力を台無しにする危険にさらす」と指摘しました。