2008年9月8日(月)「しんぶん赤旗」
「女性の世界史的復権」の時代がはじまっている
社会進歩と女性 不破社研所長が講演
新婦人内の党後援会主催
日本共産党の不破哲三社会科学研究所所長は七日、党本部で「社会進歩と女性」をテーマに講演しました。党の新婦人(新日本婦人の会)内後援会が主催したもの。大会議場をはじめ、ロビーと第二会場にもいっぱいの六百人が参加し、大きくうなずいたり、ときには爆笑したりしながら、約三時間にわたる講演に聞き入りました。
不破氏は、エンゲルスが百二十年前に『家族・私有財産・国家の起源』で、政治的同権だけでなく、女性差別のない社会をすでに展望し、「女性の公的産業への復帰」によるその実現の道筋を明らかにしていたことを紹介。「この見方は、今日の世界で女性問題を理解する上でも指針になる」と述べました。
つづいて、世界での女性の地位がどう変わってきたかを紹介。第二次大戦後の世界資本主義の高成長のなかで、「女性の公的産業への復帰」が先行して実現されたこと、そのことと世界的な女性の運動が結びついて、一九七九年の「女性差別撤廃条約」採択にいたったこと、これを契機に、男女同権・差別撤廃のルールにもとづく社会のつくりかえ――いわば「女性の世界史的復権」の時代が始まってきたことを、ILO(国際労働機関)、国連、EU(欧州連合)の取り組みを示して明らかにしました。
一方、日本は、主な条約は一応批准して形をととのえたものの、実生活での差別の実態は変わらないというきわめて遅れた実態にあり、ILOなど国連諸機関の勧告・意見が集中しています。各国の努力と比較して日本だけが遅れている少子化の事例など、グラフを示した解説に、会場からしばしばどよめきが起こりました。
不破氏は、この遅れの根本として、利潤第一主義が優先する企業社会のゆがみをあげ、侵略戦争とその時代の体制をよしとする“靖国派”が反動的な応援団となっていることを指摘しました。
不破氏は、女性差別の撤廃は日本共産党がめざしている「ルールある経済社会」づくりの柱だと強調し、この課題をすすめるうえでの運動論を取り上げ、新日本婦人の会の特徴やはたしている役割にふれたあと、最後に「私たちが生きている二十一世紀は、古いものを乗り越え、新しい力が勝利する激動の時代。『女性の世界史的復権』の時代にふさわしい、大きな力を発揮してほしい」と呼びかけました。
参加者が感想
不破さんの講演をきき、新婦人愛知県本部内有志後援会の女性(36)は、「女性差別撤廃条約で何回も日本は勧告されているのに、なぜ変わらないのか? 政治家がかかわっているのではと思っていたが、大企業と靖国派といわれる人たちが無視していることが分かりました。少子化問題が深刻なのに手だてもとらない日本政府。女性の力で政治を変えていきたい」と言います。
民青同盟中央グループ内後援会の女性(25)は、「女性差別撤廃という目標に向かう流れが世界で起きていることが話され、元気になりました。ルールなき異常な経済社会が根源にはあるけど、同時にそれを乗り越えられる時代に自分たちがいるんだと、確信がもてました」と話します。