2008年9月6日(土)「しんぶん赤旗」
ロシアはグルジアへの主権侵犯やめよ
志位委員長が見解を発表
日本共産党の志位和夫委員長は五日、国会内で記者会見し、「ロシアによるグルジアにたいする主権侵犯について」と題する見解を発表しました。
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志位委員長はこのなかで、この問題が世界の平和秩序にかかわる重大問題となっていると強調。ロシアに対し、グルジアに侵攻した軍を撤退させ、グルジアの主権尊重と領土保全という国際法の原則にたって問題を平和的に解決するよう要求しました。
グルジア領南オセチア自治州をめぐるロシアとグルジアの武力衝突からほぼ一カ月。停戦は成立したものの、ロシアの行動に国際社会の憂慮と批判の声が上がっています。志位氏は、ロシアがグルジアに軍事侵攻し、グルジアの一部である南オセチアとアブハジアの「独立」に一方的な承認を与えたことは、「主権、独立、領土保全を尊重するという国連憲章、国際法の原則に反する行動」と指摘。ロシアみずからがこれまで承認してきたグルジアの領土保全の誓約にも反する行動であると批判しました。
志位氏は、民族問題の解決を軍事行動に求めたグルジア政府の態度は批判されなければならないとしつつ、問題は基本的にグルジア国内の内政問題であり、グルジアの軍事行動を理由にグルジア各地に軍事侵攻したロシア軍の行動を合理化することはできないと述べました。
志位氏はさらに、ロシアのメドベージェフ大統領が八月十八日の演説で、帝政ロシアやスターリン以後のソ連が行った数々の領土膨張主義、軍事的覇権主義の歴史をゆがめ、美化する発言をおこなったことを「看過できない」と指摘。スターリン後のソ連による覇権主義の暴挙とたたかってきた党として「深く憂慮する」と述べました。
志位氏はそのうえで、ロシアにたいし、武力衝突がぼっ発する以前の地域へのロシア軍の撤退と、グルジア領内の二つの地域にたいする「独立」承認の撤回を要求、問題を国連憲章と国際法の厳守、当事者間の話し合いによって平和的に解決するよう要求しました。
記者団から、グルジアが北大西洋条約機構(NATO)に加盟の動きを見せていることについて問われた志位氏は、「日本共産党は軍事同盟のない世界をめざしており、NATOの拡大はそれに逆行するものであり賛成できないが、グルジアがNATO加盟を志向していることをもってロシアの主権侵犯を正当化することができないことも明らかだ。ロシアの姿勢はNATO加盟の動きを逆に促し、世界を軍事対軍事の悪循環に陥れる危険をはらんでいる」と述べました。
日本共産党は同日、日本政府と関係各国大使館に、この日発表した見解を伝えました。