2008年9月5日(金)「しんぶん赤旗」
「日の丸・君が代」
強制は戦前への逆戻り
東京地裁 原告ら不当性証言
東京都教育委員会の「日の丸・君が代」強制に従わなかったことを理由に処分された都立学校教職員百七十三人が、処分の取り消しなどを求めた裁判の第八回口頭弁論が四日、東京地裁(中西茂裁判長)で開かれました。原告の教員ら五人が「日の丸・君が代」を強制した都教委の通達の不当性などについて証言しました。
元都立高校教員の原告は、無許可の自動車通学をした生徒に対し、その思いをきちんと聞きつつ、なぜ許可できないかを丁寧に説明することで本人も納得した経験を紹介。「教育は生徒の理解と納得を前提に、その発達力を助長し、発達を保障するもの。そのためには指導などを教職員が自由に議論することが必要で、強制は教育の本質に反する」と述べました。
沖縄出身の都立高校教員の原告は、沖縄戦での集団死(「集団自決」)にもふれながら、「戦前の教育は天皇のために命を捨てろという洗脳の場に使われた。世論が二分しているものを通達で押しつけることは戦前の教育に戻る」と語りました。
元養護学校教員の原告は、従来の卒業式では卒業生一人ひとりがスポットライトの中で決意を語る場を設けていたのに、通達後の式では、校長から照明はやらず、下で歌えと命じられ、ライトを使えなかったと証言。重い知的障害を持つ子どもたちに「君が代」の意味を理解させることは困難で「教育課題として現実からかけ離れたことだ」と述べました。
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